社長が力説…「UQモバイル」は「au」と一体経営でどうなる?
KDDIは携帯通信事業の強化策として、傘下であるUQコミュニケーションズ(東京都港区)の格安スマートフォン事業を統合する。10月1日以降、自社ブランド「au」とサブブランド化する「UQモバイル」を一体運営し、営業効率化と消費者にわかりやすいサービス提供を目指す。統合でUQモバイルはどう変わるのか。UQコミュニケーションズの竹沢浩社長に聞いた。
―事業統合の背景は。
「(割安な料金プランで携帯通信事業に本格参入した)楽天モバイルを他の仮想移動体通信事業者(MVNO)も脅威に感じているはず。事業統合は競争環境が変化する中で優先的に対処すべき課題だった。ジャストか、ぎりぎりのタイミングだと考えている」
―どのような相乗効果を見込んでいますか。
「KDDIのスマホ決済や電力小売りなどの非通信サービスをUQモバイルの契約者にも幅広く提供できるようになる。(2019年10月に施行した)改正電気通信事業法で端末値引きが制限された。コロナ禍による消費の冷え込みもあり新規顧客獲得が難しくなるだろう。既存の契約者からの愛着を高め、長く使ってもらうために非通信サービスは重要だ」
―顧客の要望に応じた料金プランの設定も重要です。
「携帯大手3社が第5世代通信(5G)普及に向けてデータ容量無制限に移行する中、中容量プランを提供する方向性に変わりはない。顧客はauとUQモバイルから自分の使い方に合った料金プランを選びやすくなる。ソフトバンクとワイモバイルのような共同店舗化には良い面、悪い面がある。店舗の経営状況も勘案して決める必要がある」
―10月以降、高速通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」事業に集中することになります。今後の戦略は。
「UQモバイルとWiMAXのセット割引きを提供しているが、大手3社の携帯回線と固定回線のセットプランに比べて浸透していない。スマホとWiMAXのデータ容量をうまく組み合わせれば速度制限なしで使える。統合を機にもっと訴求したい」
「3月末にWiMAXを終了し、WiMAX2+に移行した。スマホ事業統合で、WiMAX終了で空いた周波数帯をより戦略的に利用できるようになる。5Gへの転用は秋口にも(総務省が)技術仕様を決める見通し。ニーズを見ながらサービスを検討する」
【記者の目/どれだけ顧客取り込めるか】
4月に楽天モバイルが参入したことを受け、サブブランドやMVNOは相次いで新料金プランを打ち出した。UQモバイルも6月にデータ容量上限を10ギガバイト(ギガは10億)とする新プランを開始し、低容量プランから移行する契約者が増えているという。この波に乗り、9月末までにどれだけ顧客を取り込み、KDDIにバトンを渡せるかが重要になる。(苦瓜朋子)