格安スマホ、契約数3割増も喜べない事情

大手キャリアの値下げ余波、楽天の動向が大きく左右

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携帯業界に波乱を起こす楽天の三木谷会長兼社長(中央)
  MM総研がまとめた国内格安スマートフォン市場調査によると、9月末時点の格安スマホ契約数(ワイモバイルを除く)は前年同月比28・7%増の1202万7000回線だった。携帯電話(3G、LTE)契約数に占める割合は同1・3ポイント高い7・0%となったが、携帯大手が導入した格安スマホ対抗プランの影響で成長率は鈍化している。

 事業者シェアでは、楽天モバイルなどを提供する楽天が15・6%(187万2000回線)と首位を維持。朝昼晩の混雑時間帯を除き、高速通信容量を使い切っても最大毎秒1メガビット(メガは100万)の通信速度が出る新プラン「スーパーホーダイ」で契約を伸ばした。2位はIIJmioなどを手がけるインターネットイニシアティブ(IIJ)で13・2%(158万5000回線)、3位はUQコミュニケーションズ(東京都港区)で11・3%(135万4000回線)だった。

 そして携帯料金値下げの余波が格安スマホ市場にも広がる。「IIJmio」を手がけるインターネットイニシアティブ(IIJ)の勝栄二郎社長も「心配している」と吐露する。低廉な料金を強みの一つとしてきた格安スマホ事業者にとって顧客流出の恐れがあるからだ。

 KDDIは「UQモバイル」と「ビッグローブモバイル」、ソフトバンクは「ワイモバイル」と、それぞれ傘下に格安スマホブランドを抱える。このため通信料金を見直す場合、こういった格安スマホブランドとどうすみ分けるのか、今後の焦点となりそうだ。

 さらに楽天が第4キャリアとして携帯電話事業に参入し、2019年10月にサービスを始める。楽天がKDDIが手を組むことで、混迷の様相を呈している。

 「協調と競争。この微妙な兼ね合いが携帯のみならずいろんな形で絡んでくるだろう」。楽天の三木谷浩史会長兼社長はこう力説する。楽天はKDDIから通信設備を借りる。KDDIにとって、いわば“敵に塩を送る”格好となる。それでも提携を決めたのは、楽天が対価として差し出した決済インフラに補って余りある価値を見いだしたからだ。格安スマホを含め携帯業界は来年、楽天の動向に振り回されるのは間違いない。

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