「社名がミッション」。資生堂が提起する社会課題の解決策

  • 1
  • 3
ダイバーシティーの理解を促す「マイ・クレヨン・プロジェクト」

資生堂の社名は中国の古典、四書五経(ししょごきょう)の易経(えききょう)の一節、「至哉坤元(いたれるかなこんげん) 万物資生(ばんぶつとりてしょうず)」を由来とする。その意味は「大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる」。サステナビリティー経営が注目される中、「社名が私たちのミッションそのものだ」と、山本尚美チーフクリエイティブオフィサーは強調する。

クリエイター陣が制作に携わった企業ミッション「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の動画にもこうした考え方が反映されている。紹介するのは遠隔での美容コンサルタントサービスやワンタッチで紫外線から肌を守る仕組み、プラスチックを使わない容器などの未来像。社会・地球環境を視野に入れ、美を通じてより良い世界を実現していく使命を定めている。

また、社会課題の解決策を可視化することを信条に掲げ、クリエイターの活動領域も広がっている。ベースにあるのは「世の中をより良くするためにデザインから考える」「新しいイノベーションをデザインから生む」というデザインを切り口にした考え方だ。

小学校教育に焦点を当てた2018年の「資生堂マイ・クレヨン・プロジェクト」ではダイバーシティー(多様性)を理解・意識させるためのプログラムをデザインした。生徒一人ひとりの肌の色を計測し、一般的なイメージの肌色ではなく、わたし色のクレヨンを作り、それで自画像を描くプロジェクトだ。

完成した絵を見比べたとき、周囲の友人とは異なる個性や自分らしさに気付くため、肌の研究を100年以上続けている資生堂らしい教育ツールといえる。

このほかにも、テレワークや視覚障がい者に向けたデザインなど、さまざまな社会課題に対する解決策を提起している。

資生堂は、世の中で起きていることをとらえ、課題を抽出し、それを解決するアイデアを創出する作業にも力を入れている。本来なら複数の職種で対応する必要があるが、一人のクリエイターが幅広く関与することで、多才な人材を育てデザインの質をさらに高める考えだ。(松田雅史・デロイトトーマツベンチャーサポートMorningPitch・新規事業開発ユニット)

キーワード
資生堂

関連する記事はこちら

特集