子どもと一緒に“社内テレワーク”、予想以上に仕事ができるその仕組みとは?

エスペックが職場環境づくりに挑む

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新技術開発棟は十分な通気性を確保する(エスペック提供)

新開発棟で生物多様性保全

エスペックは5月に神戸R&Dセンター(神戸市北区)内に新技術開発棟を稼働した。主力の環境試験器などの開発でオープンイノベーションを推進する核となる施設にする考えだ。新型コロナウイルス感染症対策に特別なレイアウト変更はしていないが、構想段階からのさまざまな“仕掛け”が結果的に奏功している。コロナ禍でも支障なく業務を遂行できる職場環境づくりに取り組んでいる。(取材・林武志)

新技術開発棟の建設に約11億円を投じた。石田雅昭社長は「技術開発力の強化と、生物多様性保全の推進を目的とした施設」と説明する。新棟は3階建てで、延べ床面積は約4500平方メートル。1階は実験室や共同実験室、2階は大会議室にもなるオープンカフェ、実験室、3階は事務室や書庫などを配置した。屋上には約700平方メートルの緑地を設けた。

新棟は環境試験器のほか、環境負荷低減の製品開発、医療・食品・マテリアルなど新規事業分野を含めた開発に取り組む。特色は産学官連携などオープンイノベーション促進だ。開発中の環境試験器を顧客に公開できるようにし、スタートアップ企業との協業が拡大できる施設を数多く設けた。社内外を交えた技術融合でイノベーション創出につなげる。

石田社長は「お客さまの先端技術開発に不可欠な存在となることを目指す」と強調。デジタル改革(DX)の加速もにらみ、第5世代通信(5G)やIoT(モノのインターネット)への対応などを含め、品質や安全を確保するための試験装置を新棟から発信する。

新棟は通信環境を整え、テレワーク前提のフリーアドレス制を導入した。3方向(西、南、北)から自然に通風でき、十分な換気が可能でソーシャルディスタンスを取り入れた職場づくりが進む。

「自然環境との共存がコンセプト」(石田社長)でもあるため、屋上緑地や拠点内に設けていた池などの生物生息空間(ビオトープ)、神戸R&Dセンター内に植樹した「エスペックの森」を活用し、生物多様性保全にも積極的に取り組む。

一方でコロナ禍の中、エスペックのユニークな取り組みも注目された。小中高の休校要請時、3月10―31日の計15日間、本社(大阪市北区)会議室内で小学生以下の子どもと一緒に社員が仕事をする“社内テレワーク”だ。延べ社員14人、子ども15人が利用したが社員からは「心配もあったが予想以上に仕事ができ、よかった」という声が寄せられた。

同社は4月の緊急事態宣言を受け在宅勤務に本格着手したため、期間限定の実施となった。それでも「(宣言下で)どうしても出勤が必要な場合、社内テレワークは子育てする社員の働く環境を確保するために有効だと分かった」(西谷淳子執行役員)という。

環境貢献と働き方改革の中核となる新技術開発棟に加え、試行錯誤で取り組んだ子育て社員を支える社内テレワーク。石田社長は「多様な働き方を進めたい」と力を込める。

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