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AIの“目”でコロナを防止!手洗い・マスク・3密を自動判定

コンテック、凸版印刷など

新型コロナウイルスの感染防止で人工知能(AI)の活用が広がっている。コンテックは手洗い動作が正しくできているかをAIで判定する技術を開発、手洗いが欠かせない食品工場や医療現場などへ売り込む。凸版印刷はAIカメラを使ってマスクの着用を自動判別するシステムの販売を開始した。「3密」を自動判定する技術の開発も相次いでおり、コロナ禍を契機にAIが身近なところに広がり始めた。

コンテックの手洗い判定技術は、洗面所での手の動きを3Dカメラで撮影し判定。背景部分を自動で除き、手の部分だけAI解析することで判定精度を高めた。10パターンの手の動きを認識し、顔認証カメラを組み合わせれば、誰がいつどこで正しい手洗いをしたのか、といった管理もできる。設備関連のシステムインテグレーター(SIer)などと組み、食品や医療、宿泊分野への導入を狙う。2023年3月期までに3000カ所での実用化を目指す。

AIを活用した手洗い判定は富士通も開発済み。同社はせっけんの種類なども含め、約2000に及ぶ手洗い映像データを基に学習・評価した。両社とも厚生労働省が推奨する洗い方かどうかを95%以上の高精度で判定できるとしている。

マスクの着用判定にAIを活用するのは凸版印刷。スタートアップのAWL(東京都千代田区)と共同で、事業を展開する。トッパン小石川ビル(東京都文京区)で行った実証実験では、最終的に通行者の99・3%を正しく検知できた。混雑状況を検知する機能も製品化。凸版印刷によると、マスク検知以上に需要が高いという。

野村総合研究所(NRI)は3密対策ソリューションを自社オフィスに導入した。会議室に独自開発のAIカメラを設置し、所定人数を超過した場合や、過度な密接が続く場合は注意喚起する。アステリアは二酸化炭素(CO2)濃度から3密を検知するソリューションを製品化。愛媛県の中核病院であるHITO病院(愛媛県四国中央市)に納入。カメラでは問題となるプライバシーに配慮した。

日刊工業新聞2020年7月8日

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