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インド新幹線「川重vs日立?」

車両は「E5系」の公算大きいが・・。世界の強者が虎視眈々
インド新幹線「川重vs日立?」

米リンカーン工場の鉄道車両の生産ライン

2016年11月12日。社長の金花芳則と鉄道車両事業トップで常務取締役の小河原誠は、大仕事を控えていた。安倍晋三首相とインドのモディ首相の訪問地に、鉄道車両の主力拠点である兵庫工場(神戸市兵庫区)が選ばれた。

 インドの高速鉄道整備は、7路線のうち1路線に新幹線方式の導入が決定。製造現場などを丁寧に案内する“おもてなし”に「新幹線を心待ちにしている」とモディ首相。2人は安堵(あんど)とともに、車両受注への期待を膨らませた。

 川重の鉄道車両事業は日本、北米、アジアが中心。売上高比率はそれぞれ3割程度と、均衡のとれた事業体制が強みだ。世界の鉄道業界は独シーメンス、仏アルストム、カナダ・ボンバルディアのビッグ3や中国中車など巨人が立ちはだかる。鉄道車両の最大市場は欧州だが、小河原は「(欧州以外にも)魚はいる」とし、地域限定の事業戦略に徹する。

 北米は東海岸に強く、未行使オプション含め30億ドル規模の受注残を抱える有力市場。ネブラスカ州とニューヨーク州に製造工場を構える。米国向け車両は衝突を前提とした堅牢な設計が求められる。副社長の井城讓治は「高難易度の案件をこなしており、参入障壁は非常に高い」と優位性を説明する。

 注力市場のアジアは、台湾とシンガポールでトップシェアを誇る。事業伸長にはミャンマーやバングラデシュなど新天地の攻略がカギ。同地域では雇用創出などを目的に、現地生産の要望が多いという。ただ、高度な溶接や複雑な配線など「一から車両を作るには技術や設備が必要になる」(小河原)。

 小河原には腹案がある。事前にユニット加工して現地で組み立てる新興国向け専用車両の開発だ。溶接も不要で「今までとまったく違う作り方」(同)となり、新興国での戦略車両に育てる考え。

 中長期では鉄道システム構築の能力向上や、IoT(モノのインターネット)を用いた保守事業の拡充が課題。M&A(合併・買収)も視野に入れ、勝てる地域で確実に漁場を広げる。
(敬称略)

[http://nikkan.co.jp/info/{日刊工業新聞では「挑戦する企業 川崎重工業編}を連載中}]
日刊工業新聞2017年3月2日
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
新幹線方式の導入が決まった路線はムンバイ~アメーダバード間の約505キロメートル。車両の受注先は現段階で未定だが、東北新幹線「はやぶさ」などに採用された「E5系」の公算が大きい。同車両は川重と日立製作所が担当しており、受注を巡る両社の動きに注目したい

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