パイオニアが提案する自動車コネクテッドサービス、強みはエンタメ性

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車のオンライン化を進めることで車室内で過ごす新たな価値を提案する

パイオニアはオンラインで車をつなぐ「コネクテッドサービス」を強化し、新たな車室内空間づくりの提案を始めた。NTTドコモとの提携などで、音楽や動画などを楽しめる車載インフォテインメントシステムの高機能化を急ぐ。というのもカーナビゲーションシステムなどの車載事業は業績悪化のため再建途上にあるからだ。新サービスにいち早く取り組み、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)時代での生き残りを目指す。(松崎裕)

「オンラインの力で新たなエンターテインメントを提供し、車室内をもっと快適にする」。パイオニアの高島直人取締役常務執行役員は2019年10月、NTTドコモとの製品発表でこう強調した。高速データ通信を車室内で定額・使い放題で利用できるネット接続サービスを開始。車載機器をつなぐ通信を大容量化すれば、ハイレゾ音源やフルHD(ハイビジョン)動画の再生にも対応し、車室内のエンターテインメント性が高まる。

これまでの車載インフォテインメントシステムは、モジュールを取り付け外部との通信機能を搭載した機種が主流。渋滞情報やメール、通話などの機能を備え利便性を重視したサービスが多かった。

一方、CASEの本格的な到来を見据え、各社はユーザーの新たな車での過ごし方を模索する。自動運転が進み運転手のいないライドシェアが当たり前になれば、音楽や動画など高いエンターテインメント性を求めるようになる。さらに足元では車での利用に特化したスマホアプリが増え、多機能化が進む。

富士経済の調べでは、車載インフォテインメントシステムの新車向けなどの世界市場規模は19年で前年比3・3%増の2850万台に増加。次世代製品の投入や先進運転支援システム(ADAS)・自動運転システムの普及も追い風となり、25年には3620万台に成長する見込みだ。

パイオニアは市販用カーナビシステムや、スマホとつなぐディスプレーオーディオで高シェアを維持するなど業界大手だ。その主力ブランドのディスプレーオーディオに、国内市販用として初めて米アマゾン・ドット・コムの人工知能(AI)アシスタント「アレクサ」による音声認識技術と連携したモデルを6月に投入した。音声操作に加え、自宅のスマート家電を動かせる。車と自宅、さらにオフィスなどをシームレスにつなぐ新しい使い方を提案する。

とはいえ、売上高の8割近くを占める車載事業の業績悪化により経営再建を進めている最中だ。矢原史朗社長は「モノづくりはやめない。持続的な成長には不可欠」と車載事業の重要性を認識しながらも、位置情報やテレマティクスを活用したデータ事業を次の成長の柱に据える。車載事業とデータ事業との両輪で経営再建を果たす考えだ。CASEの本格的な到来を見据え、多機能化する製品やシステムをどう収益に結びつけるのか、手腕が問われる。

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