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経営破綻のレナウン、「危機」の歴史はスポンサー選定で終止符を打てるか

経営破綻のレナウン、「危機」の歴史はスポンサー選定で終止符を打てるか

ファッション業界の事業環境は不透明だ(写真はイメージ)

コロナ禍の最中、レナウンが破綻した。以前からの長期的な減収に加え、株主とのトラブルも発生していたなか、2020年初の上場企業の倒産となった。

レナウンは1902年(明35)2月に創業、第2次大戦を経て再発足した旧レナウンから始まった。「アーノルドパーマー」が一世を風靡(ふうび)し、90年12月期には年売上高約2317億6500万円を計上、世界最大規模のアパレル企業に成長した。しかし、バブル崩壊、百貨店不振、ブランドの凋落(ちょうらく)により04年1月期の年売上高は約591億5500万円に減少。経営再建を迫られ、グループのダーバンと経営統合し、04年3月に持ち株会社としてのレナウンが設立された。

しかし、ファストファッションやネット販売など消費の変化もあり減収が続き、10年7月に中国繊維大手の山東如意科技集団有限公司の資本が入った。その後、一時は黒字化したが、17年2月期に連結・単体とともに営業赤字に転落した。

こうしたなか、19年は消費税増税、台風、記録的な暖冬の三重苦に見舞われた。そこにレナウンと原料の取引のある山東如意の子会社への売掛金が滞留した。19年12月期決算では約67億4200万円の当期純損失を計上し、業界でも資金繰り悪化が危惧されていた。

さらにコロナ禍が発生。4月の月次売上高は前年同期比81%減と大きく減少。4月末には現預金が大きく不足し、5月15日を支払期日とする手形の決済が困難となり、民事再生法という措置となった。異例なのは、山東如意と民事再生法の合意形成が困難であったとみられ、レナウン本体ではなく連結子会社が民事再生法を申し立てたことだ。

当初、連結子会社の法的整理はないと公表していたが、スポンサー決定に時間がかかっていると見られ、6月5日にダーバン宮崎ソーイングが民事再生手続き開始決定を受けた。日本が誇ったレナウングループの再建が注目されている。

(文=帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2020年6月23日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
レナウンは6月末までにスポンサー企業を決定したい考えだが、会社全体の引き受けを前提とする選定作業は難航している模様だ。希望退職で300人規模の人員削減も進めているが、退職日である25日付までに人数が集まるかも不透明。三井住友銀行から20億円の融資枠の設定を受け手元資金は確保したが、事業の先行きは楽観できない。

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