ホンダ社長がクルマ作りで大ナタを宣告、「決裁者は誰だ!」

商品企画・開発・量産を即決体制に

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「誰が本当の責任者か曖昧になってきた」と反省する八郷隆弘社長

ホンダは4輪事業の改革を推し進める。規模拡大による歪みを是正し、運営体制と子会社の本田技術研究所を強化する。ただ一連の改革で成果が出始めるのは2022年以降となる。新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境が不透明な中、八郷隆弘社長は「苦しくても、何が何でも将来のため(研究所への)投資はあきらめない」と強い決意を示す。

19日に東京都内で開いた定時株主総会で改めて説明したのが、4月に実施した4輪事業の組織運営体制の刷新だ。これまで営業、生産、開発、購買の各部門が自立した中で協調体制をとっていたが、領域を統合して一体運営できる体制に変更した。

各部門が規模拡大で部門最適の考えが強まったほか、八郷社長は5月の決算説明会で「協調するので誰が本当の責任者か曖昧になってきた」と組織を見直した理由を説明。新体制で商品企画から開発、量産までを一貫で行い、決裁者を明確にして即断即決の体制へと進化させる。

低公害エンジン「CVCCエンジン」やヒト型ロボット「アシモ」など、ホンダの独創性を象徴する製品を生み出してきた本田技術研究所の改革にも切り込む。研究所はこれまで量産を前提に商品開発と革新技術の開発を担ってきた。だが、量産開発は規模拡大で品質を含めた100%の成功が求められる一方、革新技術の研究は「99%の失敗を恐れないチャレンジをしていかなければ生み出せない」(八郷社長)という矛盾をはらんでいた。

世界規模で量産開発が広がり革新技術の研究が弱まる中、商品開発機能の本社4輪事業本部への統合を決断した。八郷社長は「研究所を本来の革新技術の研究に特化し、将来の価値創造に集中できる体制にした」と狙いを明かす。

自動運転や電動化など次世代技術をめぐり、異業種を含めた大競争時代を迎える自動車業界。「未知の世界の開拓を通じて、新しい価値を創造する」。設立趣旨に沿うように研究所の体制を時代に応じて強化し、新たな価値を創ることで生き残りを目指す。

(取材・西沢亮)

日刊工業新聞2020年6月22日

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