ニュースイッチ

経営統合を控えるホンダ系主力サプライヤー、コロナ直撃で不安だらけ

「年明け以降も100%は戻らない」
経営統合を控えるホンダ系主力サプライヤー、コロナ直撃で不安だらけ

今年秋に統合予定のホンダ系3社と日立AMSの首脳

新型コロナウイルスの感染拡大で主要サプライヤーの業績見通しが不透明だ。ホンダ系部品メーカー11社の2021年3月期連結業績予想は、合理的な見通しの算出が困難として、ジーテクトと今秋の統合で上場廃止の3社を除く7社が未定とした。成長市場の中国は回復基調だが、北米やアジアの落ち込みは年明け以降も戻り切らないとの見方もある。3社と日立オートモティブシステムズ(AMS)との統合も厳しい船出となりそうだ。

各社とも主力の中国では新型コロナの影響が20年1―3月期に直撃したものの、3月以降は経済活動が再開し、回復している。世界市場も経済活動の再開とともに、20年4―6月期を底に年明けにかけて自動車の生産量は回復するとみられる。

唯一、業績予想の一部を公表したジーテクトは、営業利益を前期比78・1%減の19億円に設定した。オンラインの決算会見で高尾直宏社長は「各取引先のすべての情報を加味して組んだ。中国を除いて年明け以降も100%は戻らない」と厳しい見通しを示した。

日立AMSとの経営統合を控えるケーヒン、ショーワ、日信工業の3社は見通しを示していない。規模拡大による競争力強化でCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応に臨むが、新型コロナ感染の第2波、第3波の懸念など先行き不透明な中でのスタートとなる。

20年3月期は11社中10社が営業減益、全社が減収と総崩れだった。うち3社が当期損益が赤字だった。ケーヒンは空調事業の製品補償費や減損損失が響き赤字に転落。武蔵精密工業は欧州子会社の減損損失が加わり最終赤字となった。八千代工業はリコール費用などが改善し唯一の営業増益を達成したものの、国内工場の減損損失などで当期損益が2期連続で赤字だった。

テイ・エステックは中国を除く欧米、アジアなどで減産したほか為替影響で利益を押し下げた。ショーワも為替影響に加えステアリングや4輪車用製品の減少などで減益だった。エフテックは国内やアジアでの減産に伴う受注減で苦戦した一方、北米事業は収益改善策が奏功し、黒字転換した。

日刊工業新聞2020年6月9日

編集部のおすすめ