東京の理想像を追求する森ビルのアーバンラボ、目玉は巨大模型
森ビルは都市の未来を考える研究施設「アーバンラボ」(東京都港区)を使い、東京の理想像を追求する。精巧な都市模型と映像を駆使し、東京の現状と将来を直観的に訴えかける仕掛けを完成。都市としての成り立ちや構造に焦点を当ててきた従来を踏まえ、東京が抱える課題を提起したり、解決に向け議論したりする場を育む。地域やテナント、有識者とともに、海外との都市間競争を勝ち抜く“解”を探る。
森ビルは東京が備えるポテンシャルや、足元と将来の課題解決を視野に同社が進める赤坂、六本木、虎ノ門地区の再開発計画などをまとめたプレゼンテーションツールを仕上げた。これを東京都心の約230平方メートルを1000分の1スケールで再現した模型やプロジェクションマッピングと組み合わせて伝え、問題意識を共有。さらに意見を交わし、東京の競争力を高めるアイデアを積み上げる。
アーバンラボには米ニューヨークのマンハッタンや中国・上海の浦東新区を同じ縮尺で再現した模型も並べ、東京との共通点や違いを視覚的に捉えやすくする工夫も凝らした。
森ビルオフィス事業部営業推進部の竹田真二課長は「東京は経済や研究開発、交通など総合力で強みを発揮するバランス型の都市。さらに文化・交流機能にも磨きをかけ、東京の“磁力”を高めたい」との戦略を示す。
アーバンラボは2019年10月に開業した一般非公開の施設で、これまでにあらゆる国籍・業種の約2500人が訪問。変化した海岸線や西高東低の地形のほか、豊富な緑地や発達した鉄道網、人口構成といった“東京の姿”を紹介してきた。特に増加する独身率の説明では「多くの人が自分ごととして関心を示してくれる」(森ビル)。これをきっかけに活発な議論が始まることも多いという。
森ビルはプレゼンツールの一つとして、98年に東京の精巧な模型づくりを開始。六本木や虎ノ門、渋谷などの再開発で街並みが変わるのにあわせ、今も定期的に更新している。以前は東京・六本木ヒルズの本社内に置いていたが、より効果的な活用が可能なアーバンラボに移設した。
東京の模型は縦15メートル×横24メートルで、六本木を中心に臨海エリアから新宿、池袋、東京スカイツリー周辺までを再現している。