店舗営業再開も需要回復が見通せない旅行大手、思い切った施策も…

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JTB公式サイトより

旅行大手各社の2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、非常に厳しい1年になりそうだ。緊急事態宣言の解除を受け、6月に入って徐々に店舗営業を再開し始めたが、本格的な需要回復は不透明な状況だ。すでに大型連休を含んだ春の需要を失っており、渡航制限の下では、海外・訪日旅行の回復は見通せない。早期の感染収束を前提にした官民一体の観光需要喚起キャンペーンで、夏以降の国内旅行需要に期待をかける。

20年は旅行業ビジネスの大きな転換点となるはずだった。国内航空大手は今春から、旅行会社向けに提供する個人包括旅行運賃(IT運賃)の航空券にダイナミックプライシング(変動料金制)を導入。募集型企画旅行が“時価”となり、販促用パンフレットの作成が難しくなっている。

旅行各社は、ウェブ販売・仕入れ体制の再構築に取り組み、新型のダイナミックパッケージ商品を開発。JTBは今春に発売し、KNT―CTホールディングス(HD)は今秋にも投入する計画だ。

新型コロナによる移動自粛、旅行控えは2月から始まって今も継続中だ。2―3月だけでも、JTBで売上高1000億円減、営業利益150億円減の影響。海外旅行に強い阪急交通社でも同期間に売上高49億円、営業利益31億円の押し下げ要因となった。5月末まで店舗営業がままならず、この先も当面はツアーを催行できない状態が続きそうだ。海外旅行に至っては再開見通しを立てられない。

各社は緊急のコスト縮減策などで急場をしのぐ一方で、7月下旬以降にも開始が見込まれる観光需要喚起キャンペーンに向けて準備を進める。新型コロナと共存する「ウィズコロナ」での新たな旅行スタイルの確立にも取り組む。また今夏に開催するはずだった東京五輪・パラリンピックの延期対応も課題だ。

各社の20年3月期は19年5月の大型連休10連休もあり、国内・海外旅行ともに堅調で、同年12月までは増益基調で推移していた。MICE(会合・報奨旅行・国際会議・イベント)をはじめとする各社のソリューションビジネスも拡大。ラグビーワールドカップの開催もあって、訪日外国人向けビジネスも緩やかながら成長した。しかし、期末の新型コロナで環境が一変した。

(取材・小林広幸)

日刊工業新聞2020年6月6日

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