【片山恭一】人類のきょうだいはなぜ滅んだ?ぼくたちが二本足で歩くのは善を運ぶため
『世界の中心で、愛をさけぶ』の作者が届ける新たな物語
いまこそ物語が必要
新型コロナ・ウイルスの影響で、病院や緩和ケアの施設に入っている親との面会を制限され、死に目にも会えなかったという話を身近に聞く。ウイルス感染で亡くなった人の家族が、葬儀を行うこともできず、火葬にも立ち会えず、壺に入った遺骨だけが玄関先に置かれていたという報道を耳にすると、やりきれない気持ちになる。
いろんな分野でアフター・コロナのことが言われている。人との接触を避け、他人を脅威とみなすようになってしまった世界。多くの人が宇宙ステーション的な生活を望み、一人ひとりが孤独の惑星の住人になってしまった世界。70億の孤独がネットワークによってつながり、オンとオフの瞬間的なコミュニケーションを繰り返している世界。
仕事や暮らしのスタイルは急激に変わるだろう。それ以上に今回の体験は、コロナが終息したあとも長く人々の心に傷として残るはずだ。子どもたちは大丈夫だろうか?
いまこそ物語が必要だ。人と人をつなぐ物語、この世界に「ふたり」という文脈を取り戻させるような物語が、切実に求められているように思う。
300万部突破の大ベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』などの著作で知られる作家の片山恭一さんのエッセイ『Webの片隅で』がニュースイッチオリジナルで始まりました。この不安に揺れる世の中に、片山さんの言葉を届けます。隔週で掲載予定です。ご期待ください。
ニュースイッチオリジナル