初診が解禁されたオンライン診療、メリット・デメリットを考える

診療アプリのメドレーに聞く

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自宅や職場にいながら、ビデオ通話などを通じて医師の診察が受けられるオンライン診療。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて規制緩和が進み、4月10日に初診が解禁された。
 どのように受診すればよいのか、オンライン診療が得意なこと、逆に難しいことなどを、オンライン診療アプリなどを手がけるメドレーに聞いた。

オンライン診療とは?

ビデオチャットなどを使って、離れたところにいる医師が患者の問診や視診を行い、診察を進めてい いくもの。
 病院に行くとなると、病院までの往復や受付、待ち時間、会計など、診察以外の手間と時間がかかる。オンライン診療であればこれを全てスマートフォンアプリ・PCサイト上で完結できる。例えば、メドレーの提供するオンライン診療システム「CLINICS(クリニクス)」では、診察予約から問診、診察、会計もクレジット決済と全てオンラインで完結できる。処方箋は郵送される仕組みだ。

オンライン診療のイメージ

利用するには、従来であれば医師から患者に提案するというものが主だったが、初診での利用が一時的に可能となり、患者側がオンライン診療に対応している医療機関を調べて予約をする、という動きができるようになった。
 厚生労働省ではオンライン診療等を開始した医療機関をリスト化して公開しており(※1)、日本医療ベンチャー協会もオンライン診療導入医療機関をウェブサイトで公開している(※2)。クリニクスでも、医療機関を検索できるようになっている。

オンライン診療の利用が向いているのは、まず、通院が困難な患者が挙げられる。足を怪我しているなど、移動に負担がある人、さらに通院に精神的負担がある人などが該当する。また、医療機関に行く時間がない人の利用も多い。
 「オンライン診療は高齢者などが多い過疎地で使われているイメージがあるかもしれませんが、実際は都市部で多く利用されています」とメドレー執行役員CLINICS事業部長の田中大介氏は話す。基本的に、仕事などが忙しく、医療機関に行く時間が取れない人に使われてきたサービスだ。またビデオチャットやアプリを使うことのできる基本的なリテラシーは必要。したがって30-50代の働き盛りの世代がボリュームゾーンとなっていた。
 ただしこうした傾向が変わってきているという。新型コロナウイルス感染症の流行に際し、特例措置として規制が緩和されたのだ。「端的に言うと、医師が判断すれば初診を含め幅広い診療にオンライン診療が適用可能になりました」(田中氏)。

規制緩和で何が変わったか

その後何度かの規制緩和が起こるが、大きく事態が動いたのは新型コロナウイルスの感染拡大を受けての「特例措置」だ。診療体制の要件や対象疾患の制限がなくなり、利用シーンが拡大された。そして、4月10日には初診からのオンライン診療が可能となった。ただしこれは特例措置で、新型コロナウイルスの流行が完全に落ち着いたら終了するとなっている。

COVID-19禍におけるオンライン診療(メドレー提供)
オンライン診療に関する規制の変化サマリー(メドレー提供)

特例措置前は「持病があるけれど仕事が忙しく、通院がおろそかになってしまう」「定期的に薬をもらいに行かなければいけない」「検査結果だけ聞きたい」などが主な利用シーンだった。そこから大きく変わり、全地域、性別、年齢の利用に移行しつつある。「(新型コロナウイルスの感染拡大で)今、病院に行きたいけれど行けない人はたくさんいます。その人たちのサポートになればと思います。ただし、オンライン診療には限界もあります。時限的に初診が解禁されたとはいえ、医師の判断で対面診療を提案することがある点は理解していただきたいです」(田中氏)。

医療機関側にも利点がある。同社の園田唯医師は、「新型コロナウイルスの流行し始めた当初は、特定の専門外来や病院に外来患者が殺到した。オンライン診療を一つの選択肢として患者の症状や背景にあわせて活用することで、そういった特殊性が高く高度昨日をもつ外来の負担を軽減できる可能性がある」と話す。
 特例措置により、クリニクスへの問い合わせや利用は増加している。4月の医療機関からの問い合わせは前月比4~5倍。実際の診療回数は約4倍だった。
 新型コロナウイルスの流行で、街中の診療所やクリニックは来院者が激減。売り上げ減ももちろんだが、「本当は通院が必要なのに通院できていない」患者も多いことも指摘される。症状が悪化してしまい、より医療機関へ多く通わなければならなくなると本末転倒だ。オンライン診療はそういった患者への窓口の1つになりえる。
 「従来は『あれば便利』という側面が強かったのですが、今は『はやく導入したい』『こういった患者さんに使いたい』という積極的な声を多くいただくようになっています」(田中氏)。

もちろん、オンライン診療よりも対面診療の方が、患者から得られる情報も多く、患者の五感を使った診察ができ、診察の質は高まる。
 「ただし、医療は対面という考えが基本であることは間違いないわけで、オンライン診療をオプションとして、マッチする人には使っていくという考え方が現状に即していると思う」と園田医師は話す。対面だけ、オンラインだけ、ではなく、選択肢が増えたと考えることが重要だ。
 オンライン診療により減ってしまう情報を補うための工夫は、利用している医療機関の現場ごとに工夫しているという。「対面診療よりも問診時間を長めに取る、といった取り組みをされているようです。ただ視覚情報については、意外とスマートフォンのカメラで対応できるという声もあります。また皮膚疾患などでは、あらかじめ患部の画像を事前に医師へ送ることもできます」(田中氏)。

メドレー田中大介氏

新型コロナウイルスの流行におけるオンライン診療の利用

オンライン診療だけで、「新型コロナウイルスに感染している」という診断をするのは不可能だ。現在多く行われているのは「医療相談」。健康に不安がある人に対し、医療機関に行くべきかをアドバイスするといったものだ。疑わしい症状でパニックになる人もいるため、不安を和らげたり、医療機関側ではトリアージをしたりといった意味合いもある。

「オンライン診療は新型コロナウイルスに関連して広がっているという認識があるかもしれませんが、『新型コロナウイルスかどうか疑わしい』『発熱している』という人向けに利用されるより、それ以外の方に利用されている例の方がはるかに多いです」と田中氏は強調する。今は新型コロナウイルス感染症に注目が集まっていますが、世の中に存在する「患者」には新型コロナウイルス感染症以外の病気にかかっている方が圧倒的に多い中で、その人たちをサポートするものとして、オンライン診療も選択誌として検討してほしいと話す。

今のところ、新型コロナウイルス感染拡大防止におけるオンライン診療の特例措置は一時的なものだ。ただ、オンライン診療の利用者が今後も増加していった後に、完全に元の規制に戻るかは議論の余地がある。新型コロナウイルスの流行に際し、オンライン診療だけでなく、いろいろな規制が緩和され、変わりつつある状況だ。「当社としては患者さんにとって使いやすい形になっていって欲しいと思います」(田中氏)。

(※1)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」
 (※2)全国オンライン診療実施医療機関リスト

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