中国のスマホ生産大国は揺るがず、電子部品メーカーは覚悟の“地産地消"

【連載・中国依存の功罪】

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ファーウェイの5Gスマホ(同社公式サイトより)

スマートフォン世界最大手の韓国・サムスン電子が生産拠点をベトナムに移すために、2019年に中国のスマホ生産工場を閉鎖した。スマホ生産の外資による“中国離れ”が起き始めた一方で、中国スマホ企業の台頭により、中国は依然としてスマホ生産大国といえる。これまで日本の電子部品各社は、スマホ向けを含め、顧客の求めに応じて顧客の近くで生産するために中国に生産拠点を構えてきた。彼らの意識は中国依存ではなく、中国での地産地消だ。

ゴールドマン・サックス証券は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アジアのハイテク主要企業105社を対象とした中国依存度調査を2月に公表。半導体デバイスも含んだ、19年度の日本企業の電子部品、半導体、材料における、中国生産、中国直接出荷の依存度はそれぞれ20%、28%と推定した。日本企業全体の平均はいずれも14%だった。

同調査によれば、電子部品各社の総生産に占める中国生産比率は推定ベースでTDKが約42%、太陽誘電が約30%、村田製作所が約23%。中国依存が高いようにみえる。これについてゴールドマン・サックス証券の高山大樹投資調査部長は、「(日本の)電子部品は(中国から)中国向けに比較的直接出荷されている」とした上で、「世界需要を捉え、スマホも自動車も中国顧客を確保してきた結果」と分析する。

中国スマホは顧客の高級志向などを捉え、グローバルで伸長している。米IDCの調査によれば、19年の世界スマホ出荷台数シェアで、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が米アップルを抜いて2位に浮上。世界出荷台数の約35%が中国スマホとなっている。中国国内スマホ市場でも中国企業の出荷台数が増えている。

新型コロナの感染拡大の影響などを受けて20年3月期連結業績予想を下方修正したTDKの担当者も「中国におけるかつての地消は外資系だった。今は中国企業の需要が伸びている」とし、中国マーケットを意識して、外資系だけでなく中国企業への供給も増えていることを示唆する。

村田製作所やアルプスアルパイン、太陽誘電も同様だ。アルプスアルパインはスマホ向けや車載向けなど中国に八つの生産拠点を持ち、太陽誘電は積層セラミックコンデンサー(MLCC)など二つの生産拠点を持つ。総生産高に占める日本の割合が約65%と高い村田製作所グループも、MLCCなど主要生産拠点が四つある。いずれも顧客の近くで生産する意識が強く、中国から撤退する気は毛頭ない。

ゴールドマン・サックス証券の高山部長は「変動のある発注、労働コストの上昇を覚悟しながら進出した背景もある」として各社の中国依存に一定の理解を示す。カントリーリスクを感じながらも時代の大局を俯瞰(ふかん)し、顧客対象が変わっても供給責任を全うしようとする各社の姿がそこにありそうだ。


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日刊工業新聞2020年4月9日

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