東芝社長インタビュー 「『コアな利益』は2000億円超えを目指す」

社会インフラを支える役割を果たす

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東芝の車谷暢昭社長

東芝は2020年度に完全復活を期する。15年の経営危機から脱すべく構造改革を断行し、社会インフラ事業を軸に再建を果たす。東証1部への復帰が改革への総仕上げとなる。新型コロナウイルス感染拡大の逆風下にあるが、企業価値の最大化へ歩みを止めるわけにはいかない。車谷暢昭社長に現状と今後の展望を聞いた。

―新型コロナ感染症の世界的な流行が企業業績に深刻な影響を与えています。
「20年度の業績には多少の影響が出る。再生を加速するため、追加改革にコストをかける戦略もありうる。ただ、新型コロナやリストラなどの特殊要因を除いた営業利益『コアな利益』は19年度に1600億円超を見込み、20年度は2000億円超に持って行きたい。19―23年度の中期経営計画『東芝Nextプラン』で掲げた21年度の業績目標は据え置く」

―18年4月に会長兼最高経営責任者(CEO)に就任しました。
「経営危機以降、財務基盤強化やリスク遮断、事業ポートフォリオ見直しを矢継ぎ早に実行した。その成果として、現在はエネルギーや社会インフラの保守サービス中心に業績が堅調に推移している。19年度は『新生東芝』として復活といえる1年になった」

―事業構造は様変わりしました。
「事業売却を進め、事業ポートフォリオを大きく変えた。赤字のBツーC(対消費者)事業の売却やリスク遮断のための米ウエスチングハウスの処理、バランスシート改善に必要な事業売却など理由はいろいろだが、合計7事業、3兆円規模の事業売却を断行した」

―株主の約7割が海外投資家になり、資本市場との対話強化も大きな課題でした。
「12人の取締役のうち社外取締役が10人となり、構成比率は欧米企業並みだ。取締役会開始と同時に中身に踏み込んだ闊達(かったつ)な議論が始まる。取締役会と評議会を含めて1日8時間に及ぶこともあり、実効性の高い取締役体制になった。また、18年11月に決議した約7000億円の自己株式取得は、過去10年間に日本企業が実施した最大級の自己株取得だ」

―社会インフラ事業が現在の東芝を支える基盤となっています。
「日々の生活の中で東芝の技術に触れない日はおそらくない。経営危機においても顧客はほとんど離れなかった。それは高い技術と長年社会のインフラを支えてきた信頼からだ。福島の復興も完遂しなくてはいけない大きな社会的責任の一つだ」
「また、電子デバイスとデジタルソリューション事業は社会インフラを支える役割を果たし、特に産業のコメである半導体は家電や自動車、飛行機、医療機器などの品質と機能を左右する心臓部だ。社会インフラ企業として社会インフラ事業の継続を守り抜く覚悟だ」

―1月にIT子会社で架空取引が発覚しました。
「かねて経営の重要課題の一つに位置付けていた東証1部申請を棚上げにし、すぐに徹底的な事実確認などを指示した。内部管理体制のさらなる運用強化とともに、グループ全体で徹底した再発防止策に取り組む」

日刊工業新聞2020年5月18日

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