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どれくらい知ってる? SDGsとTCFDの基本!

おすすめ本の抜粋「新版 イチから知る!IR実務」

持続可能な開発目標(SDGs)と気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

この数年、ESGと並んで、SDGsとTCFDいう略称をよく目にします。SDGs(=Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は2015年9月、国連で採択された、環境や社会問題に取り組むための目標です。SDGsは、2016年から2030年までに貧困撲滅や格差の是正、気候変動対策など国際社会に共通する17のゴール(目標)と169のターゲットで構成されています。
 SDGsでは「民間セクターが公的課題の解決に貢献することが決定的に重要であり、民間企業(個人事業者も含む)が有する資金や技術を社会課題の解決に効果的に役立てていくことはSDGsの達成に向けた鍵でもある」とし、企業をSDGsの担い手として位置づけています。

持続可能な開発目標(SDGs):17のゴール

SDGsに賛同する企業が17の項目のうち、自社にふさわしいものを事業活動として取り込むことで、ビジネス・チャンスを開拓できる可能性も大きく、2017年の世界経済フォーラム(ダボス会議)ではSDGsが達成されることで、少なくとも12兆ドル(約1,300兆円)もの経済価値がもたらされるとの指摘もありました。

日本でも2016年5月、政府が「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、経済、社会、環境の3分野で課題への取り組みを通じて「SDGsの主流化」を実施していますし、民間セクターでは2017年11月に経団連が企業行動憲章を改定し、会員企業にSDGsの達成に向けて行動を求めるなどの動きがあります。
 東証一部上場企業を対象にしたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の調査(回答604社、2019年5月)によると、すでに「SDGsへの取り組みを始めている」企業は45%、「SDGsへの取り組みを検討中」は39%です。別の調査では、社内でSDGsを推進するのはCSR部門や経営企画部門が多く、重視するステークホルダーとして、顧客、国内投資家、海外投資家、従業員が上位を占めます。

もう1つのTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース)は、2015年4月のG20財務相・中央銀行総裁会議で、気候変動問題が金融システムに与える影響への懸念から、金融システムの安定化を図る国際的組織の金融安定理事会(FSB)に呼びかけがあり、同年12月にFSBが設置しました。
 そのミッションは、気候変動がもたらすリスク/機会に関する適切な情報開示の枠組みの開発です。2017年6月に公表された最終報告は、次の4つの項目について、自社に財務的な影響のある気候関連情報の開示を求めました。

①ガバナンス(Governance):どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか
②戦略(Strategy):短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか
③リスク管理(Risk Management):気候変動のリスクについてどのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか
④指標と目標(Metrics and Targets):リスクと機会の評価についてどのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか

ここで②戦略は、将来起こる可能性のある気象関連の事象のリスクや対応に関連して、自社のビジネスや経営に与える影響を「シナリオ分析」し、その説明を求めています。
 そんな「シナリオ分析」の実例では、すでに石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルや豪有力鉱業のBHP、日用品のユニリーバなどが高い評価を得ています。日本企業でも伊藤忠商事や商船三井、日本航空、住友林業などによる「シナリオ分析」がよく参照されています。IR担当者も、こうした先例に一度目を通しておきたいものです。

今、TCFDに対して世界全体で922の企業や機関が賛同の意を示しています。日本はトップ(212)で、イギリス(129)や米国(127)を大きく上回っています(2019年12月13日時点)。こうしたTCFDに対する関心の高さに、ここ数年、日本企業のESG情報開示の高まりが現われています。(「新版 イチから知る!IR実務」より一部抜粋)

<書籍紹介>
 多くの欧米企業は、日本企業の今後のIR展開を先取りした文字通り「IR実学」を実践している。本書はそうした事例を多数紹介するとともに、準備リストや週・月次業務レポートのほか有価証券報告書や統合報告書作成のポイントなど企業のIR活動の全容を詳述する。

書名:新版 イチから知る!IR実務
著者名:米山 徹幸 著
判型:A5判
総頁数:240頁
税込み価格:2,420円

<著者>
米山 徹幸(よねやま てつゆき)
1948年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修了。81年大和証券(国際本部)に入社後、ロンドン、パリなどに勤務。大和インベスター・リレーションズ、大和総研・経営戦略研究所を経て、2010年より埼玉学園大学経済経営学部/大学院経営学研究科教授。2017年から同客員教授(現任)。埼玉大学大学院客員教授(2006~13年)。全米IR協会(NIRI)会員、政策科学学会理事、IR学会評議員。
 <主な著書>
『大買収時代の企業情報』(朝日新聞社) 『個人投資家と証券市場のあり方―証券市場の健全な発展のために』(共著 中央経済社) 『広辞苑〔第6版〕』(共同執筆、岩波書店) 『21世紀の企業情報開示』(社会評論社) 『イチから知る!フェア・ディスクロージャー・ルール』(金融財政事情研究会)など。

<販売サイト>
Amazon
Rakuten ブックス
Yahoo!ショッピング
日刊工業新聞ブックストア

<目次(一部抜粋)>
第1章 IRの始まりと仕事
(IRの始まりを知ってビジネスの原点を押さえる)
1.IRの役割
2.エンロン、サブプライム事件に学ぶ

第2章 IR部門の仕事を知ろう(Ⅰ)
(IR担当者の社内向け仕事を知る)
1.IR活動はどの部署に属するか
2.情報開示方針(ディスクロージャー・ポリシー)の作成
3.IR業務レポートの作成

第3章 IR部門の仕事を知ろう(Ⅱ)
(社外向けIR情報の仕事を知る)
1.有価証券報告書
2.決算短信
3.事業報告と株主通信
4. 英文の決算プレスリリース ~NIRI:「四半期決算発表のガイドライン」に学ぶ~
5.アニュアルレポート
6.IRサイト
7.ソーシャルメディア

第4章 IR情報を届ける相手を知ろう
(IR情報の相手は誰か。それぞれに企業情報の見方も違う)
1.アナリスト
2.機関投資家
3.個人投資家

第5章 プレゼンテーション
(プレゼンテーションはいつも初めての気持ちで)

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