日本企業が選んだSDGs重点目標トップ3は「生産・消費」「安全・強靱都市」「連携」だ!
身近な課題解決で社会貢献
持続可能な開発目標(SDGs)の17ゴールのうち、企業が重点を置いて取り組むゴールは何番が多いのか。その傾向を探るため、外務省が運営するウェブサイト「ジャパンSDGsアクションプラットフォーム」にゴール別に掲載した企業・団体を調査したところ、12(生産・消費)、11(安全・強靱〈きょうじん〉な都市)、17(連携)が上位を占めた。身近な課題に近いゴールほど企業も達成に貢献しやすいようだ。
ジャパンSDGsアクションプラットフォームは応募した企業・団体が自社・団体のSDGs活動のホームページをリンクできる。応募時に優先的に貢献するゴールを選択すると、リンク承認後に選んだゴール別に企業・団体名が掲載される。
日刊工業新聞が2月17日時点で掲載のあった285社・団体をゴール別に集計したところ、12(生産・消費)が126件と最多となり、11(安全・強靱な都市)が123件、17(連携)が112件と続いた。
12は資源の有効利用、廃棄物削減、化学物質管理が目標となっており、製造業と密接だ。11は防災や地方創生、17はオープンイノベーションに関連しており、産業界で関心が高いテーマと重なる。省エネルギーなど身近な課題と結びつく7(エネルギー)も98件と多かった。
一方、具体策をイメージしにくい1(貧困)、2(飢餓)、10(不公平是正)は少なかった。日本社会の課題となっている5(ジェンダー平等)も11位の47件と少なく、企業での意識付けが必要だ。
地球環境戦略研究機関が2017年にグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン会員企業に「取り組んでいる目標」を聞いた調査では13(気候変動)、8(経済成長と雇用)、12、3(健康・福祉)、7、5の順に多かった。単純比較はできないが、12と7は日本企業が取り組みやすいゴールと言えそうだ。逆に上位に上がらなかったゴールは競合が少なく、ビジネスチャンスかもしれない。
識者の見方
【PwCJapanグループ顧問・笹谷秀光氏 本業通じた実践でSDGs経営進展】
調査結果についてSDGsコンサルタントの第一人者の笹谷秀光PwCJapanグループ顧問に聞いた。
「12は製造業・サービス業ともに中心的目標であり、廃プラスチックや食品ロス対策の話題もあり、上位となったことにうなずける。11はインフラ系や地方創生の関連で関心が高く、17はSDGsの実践として連携に力を注ぐ現れだ。ゴール13、9も上位であり、本業を通じた実践、そして環境・社会・経済の統合性重視というSDGsの特徴を反映している。SDGsは企業の創造性と革新力に期待しているので技術は重要である。21件だったゴール16(平和・公正)には法令順守などリスク管理を含むので理解を深めるべき事項だ。日本でSDGs経営が急速に進展した。今後169のターゲット(具体的課題)も経営や活動に当てはめて推進していく時期であろう」