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IoT活用の見守り端末で高齢者を支える“在宅ナースコール”の魅力

安否確認・服薬連絡など
IoT活用の見守り端末で高齢者を支える“在宅ナースコール”の魅力

見守りシステム「ピコット」の端末

福岡県は2019年に地元発のIoT(モノのインターネット)製品をアピールして事業展開の支援につなげる「福岡県IoT認定製品」事業を始めた。優位性や独創性を選定委員会が審査したものなど第1弾に19社の28製品を認定した。その一つがE&I(福岡市博多区、宇多博之社長、092・409・1605)のシステムによるサービスだ。

同社はシステム開発メーカーで医療福祉分野に力を入れている。同事業の認定製品は見守り端末「Picot(ピコット)」を活用したサービスだ。高齢者向けに安否確認のニーズが高まると考えて開発した。

ピコットは「連絡」と「お薬」のボタン、タブレット端末からなる。簡素なボタンは高齢者に使いやすくするためだ。連絡通知機能によってボタンを押した際の静止画と5秒間の音声が確認できるURLを事前登録したメールアドレスに送る。「お薬」ボタンは服薬確認に使う。設定時間に服薬を促し、服用したことを知らせる機能で飲み忘れや飲み過ぎを防ぐ。

複数の登録が可能で地域や福祉施設での利用も想定。人感センサーで設定時間内に反応がなかった場合は通知する。宇多社長は「在宅ナースコールになる」とみている。

システムは利用者の希望に応じた仕様変更や、機能追加がしやすいのが特徴。静止画を動画にしたり録音時間を長くしたりできる。センサーで室温を知ることで熱中症の予防にも使える。外部のセンサーや体の障がいに合わせたスイッチも加えられ、徘徊(はいかい)防止や防犯にも活用が可能。使うカメラも増やせる。

自宅で行える運動プログラムを指導動画と一緒に提供するなどの健康支援では、九州大学などとの実証に使われた。ほかにもテレワークや農業のビニールハウスでの管理にも使えると見込む。宇多社長は「自分たち1社だけでは絶対にできない」とし、システムを普及させるために連携先を広げていく考えだ。(西部・関広樹)

日刊工業新聞2020年5月14日

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