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コロナ禍のストレスをリセットしよう!「ニュースを見る時間を1時間まで」の理由

心地よくない刺激を増やさない

コロナ禍の“非日常”リセット

新型コロナウイルスの影響で、漠然とした不安を感じている方も多いのではないだろうか。このコラムでは、週がわりで「個人」と「組織」の視点から、ストレスとの付き合い方やヘルスケアを考えていく。活動が制限されている状況下で、心身の健康を保つ際に重要になる「規則的な生活習慣」と「ストレスとの付き合い方」についてお伝えする。

勤務形態や生活環境が変化しても共通して重要なポイントは、「非日常の中で自分なりの日常を保つこと」である。 毎日一定のリズムで生活をしていくということは、体内時計を持つ私たちの身体にとって重要なことだ。例えば、朝は目に太陽の光を入れて身体のメインスイッチをオンにし、さらに朝食をとることでサブスイッチをオンにすると、毎日少しずつずれていく体内時計がリセットされ、心身の安定につながる。毎朝一定のリズムで体内時計がリセットされると、14―16時間後に眠くなり、起床と就寝のリズムが整ってくる。特に在宅勤務をされている方は、日光を浴びる機会が減っているかもしれない。光と朝食を意識してリズムを整えていくことをおすすめする。

ストレスとは悪いものだと考えがちだが、必ずしも悪いことばかりではない。ストレスには、心地よい刺激と心地よくない刺激が含まれる。ストレスと上手に付き合うポイントは、今の生活の中でのストレス状況を見直してみることと、ストレスによる不快感が強いときには、リラクゼーションをすることである。

例えば、現在の非日常の生活の中で、毎日正しい情報を得ることは重要だが、ニュースを見続けることで、不安感が強くなって心地よくない刺激が増えることや、友人と会って食事をしたりするといった心地よい刺激が減ることなどで、バランスが崩れることもあるかもしれない。そのような時は、ニュースを見る時間を1時間までに制限する、読書や料理、植物を育てる、1人で散歩して気分転換する時間を少しでも作るなど、取り組みやすいことを試し、五感を意識した心地よい刺激でバランスを整えてみるとよい。

また、ストレスによる不快感が強いときには、リラクゼーションが有効となる。呼吸をする際のリズムを、「鼻から三つ数えながら吸い、口からゆっくり六つ数えながら吐く」というリズムで身体からアプローチをするだけでも心が落ち着いてくる。身体と心の状態は心身相関といわれ、緊張や不安が強い時には、浅く早い呼吸になりやすいといわれている。できるだけ心地よいと感じやすい場所で、ゆっくり深呼吸をしてみるとよい。遅くまで仕事をして眠れない時にも効果的だ。非日常の生活に対応するためにも、心身を整える時間を意識的にもつように心がけてほしい。

◇SOMPOヘルスサポートシニア産業保健メンタルヘルス・コーディネーター 田上明日香

日刊工業新聞2020年5月14日

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