赤字転落の三菱重工、土壇場の「MSJ」は本当に事業化できるのか

民間航空機向けは大苦戦、中計前倒し

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さらなる事業化の遅れが懸念される三菱スペースジェット

三菱重工業は11日、2020年度の国産小型ジェット旅客機「スペースジェット」事業の開発費を前年度比半減の600億円程度に抑える方針を明らかにした。新型コロナウイルスの影響で航空業界の需要環境が悪化しているため。6度にわたり納入を延期してきたスペースジェットは、新型コロナ影響でさらなる事業化の遅れが懸念される。

同日、20年度の事業方針を発表した。不透明感が強まっている民間航空機分野では、航空機部品の生産計画を見直すとともに固定費を削減する。新型コロナにより経営環境が急速に変化していることを受け、次期中期経営計画のとりまとめを今秋に前倒しする方針も示した。

21年3月期連結業績予想では事業利益がトントン(前年同期は295億円の赤字)で、新型コロナの影響が1400億円の減益要因とした。泉沢清次社長は「米ボーイングの減産で(航空機部品の生産も)大幅に落ち込む可能性がある」と説明した。また自動車向けターボチャージャー(過給器)などの中量産品も生産調整を進める。

自動車向けターボチャージャーも急速悪化

三菱重工業が11日発表した2020年3月期連結決算(国際会計基準)は、事業損益が前期の2005億円の黒字から295億円の赤字と大幅に悪化した。ジェット旅客機「スペースジェット」事業で2600億円近い損失を計上したのが響いた。受注高はガスタービンなどのパワー部門がけん引し、前期比8・2%増の4兆1686億円とプラスになった。

事業損益が伸びたのはパワー部門だけで、航空・防衛・宇宙部門は前期比1713億円の悪化。ターボチャージャー(過給器)などのインダストリー&社会基盤部門は同152億円減少した。

航空部門は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大口納入先の米ボーイングをはじめ、航空会社の業績悪化で先行きが見通せない状況。航空エンジンも運航減少で収益源のサービス事業が減少した。ターボチャージャーも環境の急速な悪化で売り上げが落ち込んだ。

航空関連事業や中量産品事業は新型コロナによる市場縮小で、操業度の低下も響いた。パワー部門はガスタービン契約が伸びたほか、売上増による損益改善も寄与した。

21年3月期連結業績予想は、売上高が同6・0%減の3兆8000億円、事業利益はゼロを見込む。

日刊工業新聞2020年5月12日

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