使い捨てマスク国産回帰、年産能力1億枚に引き上げる名古屋の企業とは
スズランが9月から
スズラン(名古屋市北区、国枝靖弘社長、052・981・8501)は、9月から本社で使い捨てマスクの生産を始める。生産能力は年間約1億枚。新型コロナウイルス感染拡大の影響により国内で不足している医療従事者向けをメーンに、一般向けの綿100%不織布マスクも生産する。現在、マスクは全量中国で生産しているが、国内での安定供給を重視し、設備導入を決めた。
本社4階に、製造から検品まで自動化できる最先端の製造ライン2本を設置する。投資額は約5500万円。医療従事者向けマスクは全量を総販売代理店であるオオサキメディカル(名古屋市西区)に納入し、迅速に医療機関に納品できる体制を整える。
一般向けは、綿100%の不織布を多用した使い捨てマスクを生産する。現在、世界の使い捨てマスクの生産量は1日当たり5億枚を超えるという。そのほとんどがポリエステルなど樹脂原料の不織布で作られており、世界中の人が大量に使い、廃棄方法を誤ると海洋汚染などにつながる可能性がある。このため、国内で環境にやさしい“次世代型使い捨てマスク”を生産し、普及を目指す。
本社はもともと上層階を工場とする予定だった。生産を中国に移管したため空きスペースになっていたが、新型コロナの影響により国内で安定供給する必要性が高まったことから有効活用する。スズランは2022年をめどに、中国江蘇省でマスクなどを生産する新工場も稼働する。
日刊工業新聞2020年5月1日