住宅用建材向け3Dプリンティング事業、クラボウの狙い
22年度の事業化目指す
クラボウは住宅用建材分野で3Dプリンティングの事業化に向けた活動を本格化する。既存事業のセメント材料を使った住宅用外装化粧材の製造販売を発展し、ビルや商業施設向けにモルタルを使った意匠性の高いモニュメントなどの造形物を作製・販売する。10月に寝屋川工場(大阪府寝屋川市)に試験機の3Dプリンターを導入し、試作品の作製などを開始。2022年度の事業化を目指す。
クラボウは17年にフランスのスタートアップ、エクストリーと提携。同社は3Dプリンティングを手がけ、精密な形状の成形に優れる。19年から同社の機材でベンチなどの試作品を作製し、建材向け展示会に出展している。既に数社から引き合いがあり、このほど設備投資を決めた。
寝屋川工場に導入する3Dプリンターは、エクストリー製で1億円強。縦・横・高さ各2・5メートルの造形物が作製できる。デザインなど同社の協力を得ながら試作を進める。
原料となるセメント材料は当面の間、海外から輸入する。ただコスト負担が大きいため、国内のセメントメーカーなどと協業して原料の国産化を目指す。将来的には住宅やビルの壁を3Dプリンターで作製することも視野に入れ、ゼネコンと共同で壁用材料の研究開発も検討する。
クラボウは70年代に建材の販売をはじめ、主に一戸建て住宅用の外装材や断熱材の製造販売を行ってきた。少子化などの影響で一戸建て住宅市場は縮小していくとみており、新たなビジネス展開を模索していた。
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日刊工業新聞2020年4月22日