新型コロナで業績悪化の電子部品業界、「5G」で活路は開けるか

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需要拡大が期待できる京セラの通販インフラ向けデュプレクサ

電子部品業界で需要の二極化が進む見通しだ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う最終製品の生産調整を受け、自動車向けを中心に需要が縮小。一方、デジタル社会の進展で第5世代通信(5G)対応製品は堅調に伸び、サーバー向けなどデータセンター整備関連で旺盛な需要が期待される。各社の事業ポートフォリオによって業績の明暗が分かれそうだ。(取材=大阪・園尾雅之、京都・大原佑美子)

京セラが27日発表した2021年3月期連結業績予想は、売上高が前期比6・2%減の1兆5000億円、営業利益が同25・1%減の750億円と、減収営業減益とした。

新型コロナの感染拡大で世界的な景気低迷の継続が予想される中、主力の産業・自動車用部品事業の売上高は同12%減の3000億円の見通し。

「自動車分野は30%程度落ち込むのでは」(谷本秀夫社長)とみるが、5G関連の半導体製造装置用部品や通信基地局向けセラミックフィルターなどが補う見込みだ。

一方、半導体関連部品事業の売上高は同3・3%減の2390億円と予想した。電子デバイス事業は同1・2%増の3280億円と、事業別売上高で唯一の増収を見込む。谷本社長は「5G対応スマートフォン、パソコン、タブレット向け電子部品は比較的受注が堅調だ」と述べた。

日東電工がまとめた20年4―9月期の連結業績予想も、売上高が同7・5%減の3500億円、営業利益が同14・8%減の350億円と減収営業減益。このうち、インダストリアルテープ(産業向けシート・フィルム)事業の営業利益は、新型コロナ禍による車向け需要減で同63%減の50億円に落ち込む。ハードディスク駆動装置(HDD)用プリント基板が好調に推移するオプトロニクス事業は同6・6%増の330億円と予想した。高崎秀雄社長は「高容量化が進むデータセンター向けで追い風になっている」と、HDD用プリント基板に期待を込める。

今後の電子部品業界のカギを握るのは、高速大容量通信の5G商用化などで急速に進むデジタル変革(DX)需要増への対応だ。

中国における3月のスマホ出荷台数は前年同月比21・9%減の2100万台と減少傾向だが、このうち5Gスマホに絞ると過去最高の620万台となった。合わせて中国では政府主導でデータセンター関連の投資が加速しており、サーバーやネットワーク機器の需要が広がる見込み。

減速が強まる車載部品についても、野村証券の秋月学リサーチアナリストは「自動車1台当たりの部品搭載金額が増加する傾向は今回の景気後退によっても腰折れせず、続く見通し」と指摘しており、需要回復期は不透明ながら電動化に期待がかかる。

ほかにも省人化投資を受けたFA機器やロボット向けも需要が期待できる。週内には日本電産や村田製作所が決算発表を予定しており、電子部品業界のトレンドが一段と鮮明になりそうだ。


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日刊工業新聞2020年4月29日

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