【新型コロナ】ワクチン開発で欧米メガファーマー追従、関西の産学官が知見を集結

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ワクチンのターゲットとなり得るエピトープを特定(写真はイメージ)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、関西の産学官がワクチンや治療薬の開発で知見を集結させている。国内の感染者数は1万1000人を超え、死者は180人以上にのぼる。緊急事態宣言が解除されても第2波の到来が危惧されるなど、収束までには長期戦が予想される。特効薬が求められる中、さらなる技術開発の後押しに注目が集まる。(取材=大阪・中野恵美子)

大阪府・市は、大阪大学や公立大学法人大阪、大阪府立病院機構、大阪市民病院機構と新型コロナ感染症のワクチンや治療薬開発で連携する。臨床試験の手続きを迅速化するとともに、研究への財政支援を強化する。7月に臨床試験を始め、9月の実用化を目指しており、「年内に10万―20万単位のワクチンが投与できる」(大阪府の吉村洋文知事)と期待を寄せる。

すでに枠組みの活用が広がっている。阪大発創薬ベンチャーのアンジェスは大阪市立大学医学部附属病院と連携した。開発中の新型コロナのワクチンについて動物試験を終了後、早期に臨床試験に移行する。同社は阪大の研究成果を生かし、デオキシリボ核酸(DNA)ワクチンの実用化を目指す。病原体を一切使用せず、安全で短期間に開発できるのが特徴だ。タカラバイオが製造を担い、新日本科学が非臨床試験の安全性を検証するなど複数社が参画する。

新型コロナに次ぐ新興感染症を見据え、ワクチン研究開発のプラットフォーム(基盤)づくりも進む。阪大微生物病研究会(BIKEN財団)は、阪大微生物病研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)と新型コロナワクチン・検査技術を手がける。BIKEN財団の山西弘一理事長は「ワクチン開発や商用化の実績を生かして基礎研究から応用まで一貫し、将来の感染症に対応する」と狙いを定める。

塩野義製薬も治療薬開発で北海道大学と共同研究を実施。塩野義が保有する新薬候補化合物群の中から、新型コロナに有効な化合物を複数確認した。2020年度内の臨床試験開始を目指しており、塩野義の手代木功社長は「専門性を持つ製薬企業として、新興感染症に対する創薬を継続する」と意気込む。

新型コロナの治療薬やワクチンは欧米メガファーマが先行しており、日本が追随するには技術資源の有効活用などスピード感ある研究開発が必須だ。トラストメディカル(兵庫県加西市)の児玉崇社長は「薬剤被害救済制度を設け、さらに迅速に承認を得られるような仕組みが必要」と指摘する。規制緩和を含め、行政も一体となった研究支援のあり方が問われている。

日刊工業新聞2020年4月23日

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