【新型コロナ】増えるオンライン健康相談…ヘルステックベンチャーが将来へ布石
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が続く中、オンラインでの健康相談が増えている。ITを活用したサービスを提供する“ヘルステック”系ベンチャーは、人員増強や事業内容の充実を図り、顧客に寄り添った価値を提供する。ベンチャーならではの機動力を生かし、将来の成長に向け布石を打つ。
【妊活を支援】
「妊活の継続や中止、延期に悩む人を支えたい」と話すのは、ファミワン(東京都渋谷区)の石川勇介社長。妊活コンシェルジュサービス「ファミワン」について、5月末まで妊活相談サービスの無料提供に踏み切った。直近のユーザー登録数は従来比8倍、相談数は同9倍に伸びているという。
対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」チャットを無料開放し、より多くのユーザーに対して不妊症看護認定看護師や臨床心理士などの専門家がアドバイスする。不妊治療のための通院が不要不急の外出に含まれるか判断が困難とされている。通常の妊活相談に加え、クリニックでの妊活の中止・継続に伴う自宅妊活の質問にも対応する。
【チャットで対応】
オンライン診察を手がけるネクストイノベーション(大阪市北区)。生理や避妊など若い女性が持つ悩みにチャットで応じるサービス「スマルナ」について、1日平均の相談数が前月比1・5倍に増加した。外出自粛により、通院に抵抗を感じるユーザーからの問い合わせが伸びている。この状況を受け、同社は個別相談に応じる助産師と薬剤師を増員した。
また生理周期に合わせて毎月ピルを届ける定期便の利用者には、物流の遅延を考慮して1週間早く郵送するなど対応している。
【学会、中止・延期】
政府の緊急事態宣言の発令により、イベントの中止や延期に拍車がかかっている。学術研究を発表、論議する会場型の学会も例外ではない。
医療従事者向けの医療技術ライブ配信サービス「イー・ケースブックライブ」を手がけるハート・オーガナイゼーション(大阪市淀川区)は20日をめどに、医師が自宅や勤務先から講義できる機能を追加する。
【知的活動を継続】
新型コロナウイルス感染の対応に追われる医師や医療従事者向けに、知的活動を継続できるよう支援する。医療用画像を含むプレゼンテーションや動画について、高解像度を保ちながら発表・閲覧し、討議できる。菅原俊子社長は「ライブ配信やサーバーを支える運用面で確立してきたノウハウを生かしたい」と意欲を燃やす。