Codeの力を解き放て!IBMが新型コロナに挑む

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コール・フォー・コードの活動で熱弁を振るう戸倉さん

「コード(Code=プログラムの記述)の力を解き放て」―。オープンソースのムーブメントと軸を合わせて、米IBMが国際連合などと推進する自然災害救援プロジェクト「コール・フォー・コード」が3年目に入った。目玉は社会課題をテーマに、20万人近くが参加するハッカソン(技術開発コンテスト)。2020年は新型コロナウイルス「COVID―19」を緊急テーマに加え、社会を揺るがす危機に立ち向かう。(取材=編集委員・斉藤実)

【技術革新後押し】

コール・フォー・コードは自然災害の打破や地域社会の復元力の強化などを掲げる。世界的な技術コンソーシアム(企業連合)「ザ・リナックス・ファンデーション」とも連携して、オープンソースによる社会貢献やイノベーション(技術革新)の創出を後押ししている。

19年のハッカソンでは、165カ国から18万人が参加。消防士チームによる「煙と有害物質から消防士の健康を守るIoTソリューション」が最優秀を射止め、2200万円相当の賞金を得た。

日本からも3チームが参加した。慶応義塾大学生4人のチームは災害時の人々の行動の学習から得たフロー(動作手順など)をスマートフォンなどのアプリケーション(応用ソフト)へ事前に入れ込む避難支援ソリューションを開発。着眼点の良さで高評価を得た。

IBMは3000万ドル(約33億円)を投じ、コール・フォー・コードの活動を支援している。その一員として活躍する日本IBMデベロッパーアドボケイトの戸倉彩さんは「これまで接点のなかった人たちと交流できたり、顧客先とのコミュニティーが立ち上がったりしている」と波及効果の広がりを強調する。

【実装実験も協力】

IBMはコール・フォー・コードから生まれた“ソリューションの芽”を社会に役立つよう継続的に支援しようと、19年に「コール・アンド・レスポンス」という活動も始動。先駆例は18年に最優秀となった米イーストカロライナ大学生4人のチームによる緊急時IoT(モノのインターネット)ソリューション「プロジェクトOwl」。

このソリューションは水害などで通信網が遮断された時に、メッシュ状ネットワークを自動で作り上げ、ウエブサイトに無線パケットで災害状況や場所、必要な物資を伝達する仕組み。無線通信をメッシュ状に束ねる中核装置「ママダック」と、メッシュネットと外部をつなぐゲートウエー装置「パパダック」で構成。防水仕様のダックは、水害時にはアヒルのように浮かぶ。

実証実験が始まったソリューションの中核装置「ママダック」

ハード仕様も含め、ソリューションを構成するコードはすでにオープンソースとして公開済み。IBMは米国で始まった実装実験にも協力している。

コール・フォー・コードの活動期間は5年間。「活動を通して、最先端の技術を学び、社会貢献に加え、自社のビジネスを変えるような能力を持てる」(戸倉さん)。新型コロナ関連では危機管理に関するコミュニケーション、遠隔教育、地域コミュニティーがテーマに上がっている。危機への挑戦からイノベーションが生まれる。

日刊工業新聞2020年4月15日

キーワード
IBM 新型コロナ

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