紫外線LEDで新型コロナウィルスに挑む…産学連携で効果検証
星和電機は新型コロナウイルスの対策用途も念頭に、ウイルスなどを殺菌できる紫外線発光ダイオード(LED)モジュールの開発に着手した。ヘルスケア用途を想定して以前から取り組む研究テーマだが、増山晃章社長は「こういう時だからこそ将来のため、費用は気にせず研究開発に注力するべきだ」と、研究部門に開発加速を指示。大学などとの産学連携で効果検証も進め、年内にも市場投入する考え。
星和電機は工場やプラント、倉庫向けなどの産業用照明機器や、道路・トンネル照明機器、道路情報表示板など手がける電機メーカー。
新型コロナウイルスの対策用途も視野に、ウイルスを殺菌・不活化する波長の紫外線を照射する産業用LEDモジュールを開発する。これまでの照明関連の事業や紫外線を活用した製品・機器で培った知見を応用する。
同社は液化天然ガス(LNG)火力発電所の気化装置のメンテナンス負担低減のため、液体で運んだガスの気化に使う海水中のプランクトンを死滅させる用途で、防爆防水仕様の紫外線灯を手がけた実績がある。
このほか、歯科材料の紫外線硬化向けで業界初のLED光源モジュールも展開。光の持つ機能の応用で、明かり以外の用途拡大を推進する。
殺菌力を持つ波長域の紫外線照射は従来、蛍光物質を塗布しない水銀ランプが主流。だが、環境汚染や健康被害の防止が目的の国際条約で、水銀ランプの製造や輸出入が規制されるため、LEDを光源とする殺菌灯の開発、製品化は世界各地で進んでいる。
日刊工業新聞2020年4月10日