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減速時の運動エネルギーを利用して充電…東芝のリチウム電池を採用した「軽」

減速時の運動エネルギーを利用して充電…東芝のリチウム電池を採用した「軽」

東芝の車載用リチウムイオン2次電池「SCiB」

東芝の車載用リチウムイオン2次電池「SCiB=写真」が、日産自動車三菱自動車が共同で開発した新型軽自動車に採用された。日産の「ルークス」と「ルークスハイウェイスター」、三菱自の「eKスペース」と「eKクロススペース」の全グレードに同製品を搭載した。

東芝の車載電池は減速時の運動エネルギーを利用して充電できる。蓄えた電気は電動モーターを回転させエンジンの補助駆動力に使用したり、停車時エンジン停止(アイドリングストップ)などに再利用したりできるなどマイルドハイブリッドシステムに適した機能を持つ。

マレリの回生蓄電池システムを通じて同製品を供給する。19年に発売された日産のデイズシリーズと三菱自のeKシリーズにも搭載している。

日刊工業新聞2020年4月3日

東芝、次世代SCiB実用化 来年度以降にエネ密度50%増

東芝「SCiB」の現行品

東芝は2020年度以降に独自のリチウムイオン二次電池「SCiB」で、エネルギー密度を従来比50%以上高めた次世代品を実用化する。すでに研究所での試作セルを開発済みで、今後量産技術を確立する。寿命や急速充電性能が強みの一方で、電池の大容量化につながるエネルギー密度が課題だった。ハイブリッド車(HV)や鉄道、定置用途に絞って事業拡大を目指す。

東芝は体積エネルギー密度が1リットル当たり約350ワット時の次世代SCiB(49アンぺア時セル)を試作した。現在販売しているSCiBはエネルギー密度が同100―200ワット時で、他社が手がける一般的なリチウムイオン電池が最高で同500ワット時と差があった。

開発品は負極材に従来のチタン酸リチウムではなく、ニオブチタン系酸化物を採用してエネルギー密度改善につなげた。一般的な負極材料は炭素系だ。

東芝は07年にSCiB事業へ参入し、現在は年間売上高が数百億円規模。寿命や急速充電のほか、安全性や低温動作性能を生かして供給実績を着実に増やしている。スズキや日産自動車、三菱自動車、マツダ日野自動車に採用されたほか、東京メトロなどの鉄道車両にも搭載される。30年に4000億円規模を目指す成長事業と位置付け、国内外で増産投資を継続している。

ただ、リチウムイオン電池市場全体で見ると、日本や中国、韓国の大手メーカーがしのぎを削る。東芝にとって価格競争は分が悪いため、対象市場を絞って“ニッチトップ”を狙う戦略だ。

日刊工業新聞2019年11月21日

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