太平洋セメントがなぜリチウムイオン2次電池のリサイクル?

希少金属の回収を実証。20年めどに事業化、次の成長分野に

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リチウムイオン電池のリサイクルの仕組み
 太平洋セメントはリチウムイオン二次電池(LIB)のリサイクル技術の実用化に乗り出す。セメント工場に独自の熱処理設備を設置し、セメントの製造工程に組み込んで希少金属を回収する実証実験を2016年度に始める。国内のセメント需要が大きな伸びを見込めない中、同社は環境分野を成長の柱の一つに位置づける。車載向けを中心にLIBのリサイクル需要の急増を見込み、20年をめどに事業化を目指す。

 LIBを解体・分解してプラスチックや基板を取り出した後、セメント製造工程で排出する熱で焙焼(ばいしょう)する。電解質は蒸発させセメント製造工程で無害化する。熱処理後は破砕・選別してリチウムやアルミニウム、鉄、銅などを回収する。残りかすはセメントの燃料とする。

 もともとセメントはさまざまな産業が排出する廃棄物や副産物を受け入れ、原燃料に利用して製造する。受け入れ可能な廃棄物・副産物を増やすことはコスト削減と収益増加の両面に寄与する。LIBは理論上100%リサイクルが可能で「捨てるところがない」(三浦啓一執行役員中央研究所長)。

 同社は11年に松田産業と共同でリサイクルの研究開発に着手し、13年度からは経済産業省の補助を受けて技術開発を進めてきた。現在は1日当たり2―3トンのLIBを処理できる実証設備の設計・開発を終えた。15年度中に同設備を24時間連続で稼働させる実験に着手し、16年度にセメント工場に移設する。

日刊工業新聞2015年08月21日 1面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

 環境事業は手間やコストがかかると思いがちだが、セメント業界にとってみると「うま味」の大きい事業でもある。中間処理工程で発生する鉄スクラップやレアメタルは資源として販売し、利益を得ることが出来る。最終的に残った材料の処理はセメントの製造工程での既存設備を活用できるし、処理工程の稼働率向上、セメントを製造するために原料の原単位も減らすことが出来る。今後、LIBなどの優良な廃棄物をいかに回収量を増やすか、業者間での競争も予想される。

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