JR九州と西鉄の連携が本格化、「鉄道↔バス」乗り継ぎしやすく

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西鉄バス車内のモニターに表示されたJR下曽根駅の列車時刻表を説明する西鉄バス北九州担当者

JR九州と西日本鉄道による運輸事業での連携が本格的に走りだした。3月に実施したJRのダイヤ改定に合わせて両社は、北九州市内で鉄道とバスの乗り継ぎの利便性を高める。人口減など社会構造の変化に対して補完し合い、利用者を増やして持続可能な公共交通を築く狙い。MaaS(統合型移動サービス)の有効性向上にもつながると期待する。

JR九州と西鉄は2019年9月に覚書を交わし、MaaS分野など3本柱の連携をスタートした。JR九州の青柳俊彦社長は連携を発表した会見で「鉄道だけ、バスだけというビジネスモデルからの大きな転換点」と力を込めた。北九州市で始まった今回の取り組みは、柱のうち公共交通の利用促進に関するものだ。

「下曽根モデル」と名付けたこの事業では、JR下曽根駅(北九州市小倉南区)を中心に在来線とバスの「シームレスな乗り継ぎ」(JR九州担当者)を目指す。駅周辺の住宅地と市中心部・小倉のアクセスを高めて、バスで50―60分かかっていた行程を最大30分短縮できると見込む。

西鉄は、団地が集まる地区から駅直通のバス路線を新設。鉄道との乗り換えを前提に、列車の発着に合わせたダイヤを設定した。同時期に西鉄は運転士不足による減便も実施したが、小倉方面の減便分を振り向けて最適化した形だ。

JR九州は駅構内にバス停の案内やバス待合用のベンチを設置。バスと列車が並ぶポスターやチラシも制作し利用客にPRする。同社担当者は「初の取り組み」と強調する。

新技術も活用している。西鉄グループとYEデジタルで開発したスマートバス停システムによる、バスの電子時刻表を駅改札の正面に掲出。バス車内ではモニターで駅時刻表を表示して情報提供する。

下曽根モデルについて西鉄担当者は「MaaSで使えるサービスにするため」と意義を説明する。JR九州は、トヨタ自動車と西鉄が取り組むMaaSアプリ「マイルート」に参画した。情報面のシームレスが実現に向かう中で、下曽根モデルをはじめとする実際の乗り継ぎやすさを提供し価値を高める。

下曽根に続く対象路線は未定だが両社の並走地域が候補になる。両社の多様な交通モードでの展開のほか、JR九州と連携するタクシー大手・第一交通産業などプレーヤーの広がりも期待される。複数社の乗り継ぎを前提にしたサービスが常識になれば利便性は高くなる。まずは下曽根モデルを、名前通り“モデルケース”にすることが求められる。

(取材=西部・三苫能徳)

日刊工業新聞2020年3月31日

キーワード
JR九州 西日本鉄道 MaaS

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