旧村上ファンド系の東芝機械へのTOB、撤退濃厚
大株主としてとどまる考えを示唆
東芝機械は臨時株主総会を開き、旧村上ファンド系の投資会社グループによるTOB(株式公開買い付け)が成立した際に買収防衛策を発動する議案が可決された。投資グループを除く株主に新株予約権を割り当てるもので、TOBが成立すると投資グループは持ち株比率が下がる上、世界的株安の中で含み損を抱える。旧村上側がTOBから撤退することが濃厚だ。
臨時株主総会では旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)などのグループに対する防衛策の導入、新株予約権の無償割り当ての2議案を諮った。いずれも60%強の過半数の賛成を得て可決された。
東芝機械の坂元繁友社長は臨時株主総会後に記者団の取材に応じ、批判の多い防衛策の復活が支持されたことについて「極めて例外的な措置と理解頂いた」と、旧村上系グループに限定する今回の防衛策が一般的なものとは異なるとの見解を強調。「2023年度までの経営改革プランを確実に実行する」と、気を引き締めた。
シティインデックスイレブンスの福島啓修社長は日刊工業新聞の取材に対し「TOBの取り下げは現時点で決めていない」としながらも、成立時には多額の含み損を抱えることなどから撤退は妥当であるとの認識を示した。また「防衛策は時代に逆行している」としつつ、「反目し合ってもいいことはなく、反省点だ。企業価値向上に全面的に協力したい」と大株主としてとどまる考えを示唆した。
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