【新型コロナ】来場特典なしも、どうする3月株総
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業が3月に開く株主総会の対応に苦慮している。各社はスタッフだけでなく参加する株主にもマスク着用やアルコール消毒液の使用を呼びかけるほか、例年より規模を縮小しての開催や、議決権の事前行使をお願いするなどしている。
GMOインターネットは21日に開催予定だった株主総会を30日に延期し、例年よりも縮小した規模で開催する予定だ。運営も最小限の体制で行う方針。来場特典を用意せず、株主には可能な限り電子行使や郵送による議決権の事前行使をお願いしている。会場入り口にサーモグラフィーを設置し37・5度C以上だった場合は入場を制限する。株主総会のインターネットライブ中継も行う予定。
すかいらーくホールディングスは予定通り27日に都内で開催するが、規模は縮小する予定で、初めて動画配信も導入する。株主にはホームページなどで、動画の視聴も可能なため体調面で無理をしないよう伝える予定だ。会場では座席の間隔を開け、質疑応答用のマイクは都度拭き取りする。
前日まで出欠の申し込みができるため、参加人数は確定していないが「昨年(1165人)の半数くらいを見込んでいる」という。
花王は25日に実施するものの例年より時間を短縮し、株主総会終了後の懇談会は中止する。同じく25日に開く資生堂はインターネット議決権活用の推奨や、間隔をあけた座席配置の設定、事業活動展示の中止などを実施する。お土産は当日には渡さず、議決権を行使した株主に4月中をめどに送るという。
ビール・飲料大手でも、3月下旬に開く株主総会について新型コロナの感染防止対応を徹底する方針だ。アサヒグループホールディングスやキリンホールディングスはホームページで株主向けに総会の対応について告知し協力を呼びかけている。健康管理を促すとともに不安な場合に書面やインターネットで議決権行使する方法も紹介している。
サッポロホールディングスも通常通りに開催を予定しており、3社ともに会場ではマスクの着用やアルコール消毒などの対応を徹底。キリンは会場の座席の間隔を通常より広げるほか、展示物には手を触れられないように対策する方針だ。
株主総会については、法務省が新型コロナの影響で開催できない場合の見解を公表している。企業の定款で定めた時期に開けない状況であれば「その状況が解消された後、合理的な期間内に開催すれば足りるものと考えられる」としている。感染拡大に伴って会場の確保などが難しい企業にとっては、株主総会の延期も選択肢の一つだ。ただ収束が見通せないことから、大和総研の鈴木裕主任研究員は「現時点では延期後の株主総会の日程を示すのは難しいのではないか」と指摘する。