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大ヒット液体洗剤「アタック ZERO」、花王が疑問に迫った“水と油”の関係

大ヒット液体洗剤「アタック ZERO」、花王が疑問に迫った“水と油”の関係

計量不要の「ワンハンドプッシュボトル」も話題に

水にも油にもなじみやすい界面活性剤「バイオIOS」を開発し、洗剤に配合した。同剤は、油汚れに吸着してしっかり落とす一方で、水にもよく溶ける。汚れだけでなく洗剤残りも“ゼロ”にする、今までにない洗剤を可能にした。またバイオIOSは、アブラヤシの実から食用パーム油を採取する際のしぼりかすを原料としている。環境にも配慮し、洗浄力とサステナビリティを両立した次世代の界面活性剤を誕生させた。

「化学繊維の汚れを落とし切れてるのか、という疑問に迫った」。花王のコンシューマープロダクツ事業部門ファブリックケア事業部の尾崎貴則氏はアタックゼロの起点を振り返る。

バイオIOSは、油になじみやすい性質から、油汚れに吸着する。化学繊維の奥にある皮脂汚れにも到達できるという。一方で水にもなじみやすく、繊維からは汚れとともにするりと落ちる。汚れを落としつつ、繊維には残らない。アタックゼロは同剤の配合で、化学繊維の汚れを落とせる洗剤となった。

近年、保温などの機能性衣類が増えており、化学繊維は多用されている。ただ、同繊維は水になじみにくく油になじみやすい。汚れが落ちにくい上、むしろ皮脂汚れは繊維の奥まで入り込んでしまう。汚れを落とすのは難しいため、この実現は重要な意味をもつ。

またアタックゼロには、化学繊維を水になじみやすくすることで汚れを落としやすくする「繊維親水化技術」も搭載されている。「化学繊維の性質を少し変えてあげるイメージ」(尾崎氏)だという。油以外の汚れもきちんと落とす。

新たなボトルデザインも誕生させた。片手で持ってノズルをプッシュするだけで、洗濯機に投入できる「ワンハンドプッシュボトル」も展開している。5プッシュがキャップ1杯分になっており、計量が不要。目が不自由な方なども使えるユニバーサルデザインだ。ドラム式専用の製品も用意しており、洗濯機の多様化にも対応している。使いやすさにこだわり、多くのユーザーに選ばれるよう工夫している。

(門脇花梨)
アタックゼロについて会議をする尾崎貴則氏(左手前)

【製品プロフィル】
2019年4月1日に発売された衣料用濃縮液体洗剤。花王が独自に開発した界面活性剤「バイオIOS」を配合し、洗浄力を高めた。計量不要の「ワンハンドプッシュボトル」も話題となり、好調に売り上げを拡大している。市場想定価格は1本350円(消費税抜き)前後。発売から7カ月時点で、累計出荷数量は6000万本を超えているという。

日刊工業新聞2020年1月24日

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