EU離脱も関係なし?ユニコーンは欧州最多の20社超、英国にテック投資が集まるワケ

  • 0
  • 0

ベンチャー・キャピタル大手アトミコの「欧州テック産業の現状2019」によれば、19年の欧州のテック分野への投資額(年率換算値を含む)は約343億ドルで、前年(約246億ドル)比約1・4倍、15年(約153億ドル)からの5年間で倍以上の伸びを見せている。19年の米国・アジアでの同投資額が前年比減(米国が約1182億ドルから約1167億ドル、アジアが約1178億ドルから約625億ドル、出所=Dealroom)であるのに対し、欧州市場の底堅さと期待の高さがうかがえる。

中でも、欧州で最も多くの投資を受けている英国は、開かれた市場、社会的経済的な多様性、レベルの高い教育機関の存在、英語の優位性などを強みとして、従来から多くの企業・人材・投資家を惹きつけてきた。CBインサイツの「グローバル・ユニコーン・クラブ」によると、400社を超える世界のユニコーン企業の中で、英国発企業は20社超と欧州最多だ。その業種は、海外送金サービスとして日本にも進出したトランスファーワイズやレボリュートをはじめとする、英国に強みがあるとされるフィンテックのみならず、グローバルスイッチ(データ・センター)、デリバルー(食品配達)、バビロンヘルス(人工知能=AI)、OVOエナジー(エネルギー)など多岐にわたる。

日本企業に期待

英国ビジネス・エネルギー産業戦略省傘下のイノベートUKは、企業向け助成金交付だけでなく、デジタル技術や人工衛星などの重点分野で先端技術の商用化を目指す「カタパルトセンター」運営などを通じてイノベーションを推進している。

また、外国企業誘致に積極的な国際通商省は、審査を通過した革新的な技術を有するスケールアップ企業を英国に招いて、英国でのビジネス拡大を支援するプログラム「テック・ロケットシップ・アワード」を日本向けにも立ち上げるなど、日本発のテクノロジーに対する期待は大きい。

海外市場の開拓には、その市場に精通し、投資家や潜在顧客に強いパイプを持つ専門家の支援が不可欠だ。ジェトロは、世界有数のアクセラレーターであるテックスターズ・ロンドンの協力を得て、英国をはじめ欧州へのビジネス拡大を目指す日本企業に対し、メンタリングやビジネス・マッチングなどの支援を行っている。

19年10月には、同社の代表を日本に招き、東京と大阪でプログラムを実施。参加企業各社の事業計画に基づき、資金調達や人材獲得の助言を個別具体的に実施し好評を博した。

EU離脱をめぐる先行き不透明感が残る英国だが、引き続き魅力的な市場であり続けることを目指している。その新しい可能性に期待する声が大きいことも事実だ。今後の欧州・英国に注目して頂きたい。

(文=ジェトロロンドン事務所・雪田大作)

日刊工業新聞2020年2月14日

関連する記事はこちら

特集