ロームが大方針転換、半導体で自前主義脱却の理由
ロームは垂直統合型のビジネスモデルを転換し、半導体受託製造(ファウンドリー)や半導体後工程請負業(OSAT)などへの外注比率を2021年めどに約30%(現状は8%程度)まで高める。市況や顧客からの受注量急増といった変化への対応力強化と固定費の抑制が目的。企業名などは明らかにしていないが、台湾や中国本土などのファウンドリー4社、OSAT11社とすでに協議を始めている。
ロームはウエハー製造からの垂直統合型生産体制による高品質と安定供給を強みとしてきた。今回のモノづくり改革は大きな方針転換となる。産業機器向けや、家電など民生機器向けの半導体パッケージ、モジュール製品などが外注の中心となる。受注数量、外注先の得意・不得意なども勘案しつつ比率を高め、自前主義一辺倒から脱却する。自動車向けは内製がベースとなりそうだ。
繁忙期のみといった形ではなく、一定割合を継続発注して外部と信頼関係を築く。他社の技術を学ぶ側面もある。顧客の製品のプラットフォーム共通化、部品の横展開などによる急な需要増に柔軟対応できるようにする。
同社は2021年度からの5カ年中期経営計画の策定にこのほど着手した。これまでの中期計画は「販売計画だった」(藤原忠信社長)とし、今回はグループ全体の10年先を見据えた上で5カ年計画を立て、そこから各分野に落とし込み、パワーデバイスやパッケージ、モジュールの強化、外部との協業などで具体策を打ち出す方針だ。
多数ある国内工場の生産品目再編や建て替え、海外事業拡大も重要課題。策定には海外子会社も参画し、同社初の本体役員への外国人登用も検討中。中計に先行し、できるものから改革を進める。
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日刊工業新聞2020年2月5日