新型肺炎で日本経済減速、主要シンクタンクが弾き出した悲観GDP予測一覧
新型コロナウイルスによる肺炎感染の拡大が、日本経済の大きなリスク要因になってきた。日本の1―3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は「ほぼゼロ成長」「マイナス成長の可能性」との予測が主要シンクタンクの間から出ている。新型肺炎に伴う中国経済の停滞、訪日中国人客の急減、日系中国工場の生産調整などが成長の足かせになると見通す。2019年10―12月期に続き、2四半期連続の低空飛行が想定される。
主要シンクタンクは、内閣府が17日に発表する19年10―12月期の実質GDP成長率(速報)を年率換算でマイナス3―マイナス4%台と見通す。マイナス成長は5四半期ぶり。消費増税前の駆け込み需要の反動減や相次いだ台風、暖冬などの影響で、自動車や家電を中心に個人消費が停滞したとみる。また米中対立の長期化などに伴う輸出の減少が企業の生産や収益に影響し、設備投資も減少したと予測する。
1―3月期は「消費増税や台風などによる一時的影響がはく落するにつれて、消費・生産活動は持ち直す見込み」(日本総合研究所)とみる。だが新型肺炎の発生が、これらプラス要因を相殺する。
「2四半期連続のマイナス成長となる可能性が十分にある」(伊藤忠総研)、「ほぼゼロ成長にとどまると予想」(ニッセイ基礎研究所)、「成長率は前期比ゼロ近くまで下振れる可能性」(日本総研)を指摘。プラス成長を予想する第一生命経済研究所も「19年10―12月期の大幅な落ち込みからの戻りとしては鈍いものにとどまるだろう」と見通す。
みずほ総合研究所は、20年前半の日本経済は「コロナウイルスの影響も踏まえると弱い伸びにとどまるだろう。日本経済の回復は年後半からとみる」と分析。大和総研は「仮に中国人訪日客が100万人(10%)減少すると波及効果を含めて、日本のGDPは2500億円程度押し下げられる」と試算する。
新型肺炎の影響は訪日中国人の減少だけではない。日系中国工場の生産調整による収益の下振れ、中国国内の消費停滞に伴う対中輸出の減少などが見込まれる。第一生命経済研は「仮に日本国内でも感染が広がるようであれば、個人消費への悪影響が広がる可能性があり、内需の下押しが懸念される」と国内感染の行方を警戒する。