トヨタの「ミライ」技術、世界一周航海の旅に出る
トヨタ自動車は船舶向けの燃料電池(FC)システムを開発した。自社の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の搭載部品を用いて、船舶用のコンパクトなシステムに仕立てた。再生可能エネルギーで世界一周航海を目指すフランスの「エナジー・オブザーバー号」に提供する。トヨタがFC技術を船舶向けに応用するのは初めて。
トヨタの欧州事業を統括するトヨタモーターヨーロッパが船舶用のFCシステムの再設計から、部品の製作、船舶への搭載までを手がけた。ミライと同等の電池スタックを搭載し、航行速度は4・5ノット。トヨタは航海での実証を通じて、船舶向けFCの実用性を検証。FC技術の用途拡大につなげる。
エナジー・オブザーバー号は太陽光や風力などの再生可能エネルギーと、海水から生成した水素を用いたFCを動力とする。動力を自給できる世界初の自立エネルギー型燃料電池船となる。2月に母港である仏北部のサン・マロ港を出港し、大西洋と太平洋を横断する計画だ。
日刊工業新聞2020年2月5日