月面探査車の開発で協業、JAXAが期待するトヨタの知見

火星探査も視野に

 トヨタ自動車と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12日、国際宇宙探査での協業を検討することで合意したと発表した。まずは月面の有人探査に使う、燃料電池車(FCV)技術を使った探査車(ローバー)の実現で協力する。火星探査も視野に、協業範囲のさらなる拡大に向けて協議を進める方針だ。

 探査に使う「有人与圧ローバー」は、宇宙飛行士や遠隔での操作に加え自動走行もでき、飛行士が一定期間居住できる機能や空間を備える。トヨタとJAXAが検討を進めるローバーは長さ6×幅5・2×高さ3・8メートルの大きさを想定。13平方メートルの居住空間を備え、2人滞在できる。

 月では水を電気分解し生み出す酸素と水素を、ロケットや探査車の燃料や、生活資源として活用できるとみられる。トヨタは水素を燃料とし、空気中の酸素と反応させてエネルギーを生み、排出物は水のみというFCV「MIRAI(ミライ)」を、量産型で世界で初めて世に出した実績を持つ。

 加えてグローバルの地域特性に合わせ、マイナス数十度Cの寒冷地から灼熱(しゃくねつ)の砂漠まで、幅広く対応する車両開発力を持つ。こうした知見をローバー開発に生かす。

 トヨタの豊田章男社長は「クルマは地域によっては生きて帰ってくるための相棒として活躍している。今回のプロジェクトに求められるのも、まさに生きて帰ってくることだ。トヨタの『耐久性、走破性』と『FC』技術に期待してもらえうれしい」とコメントした。
月面探査について話す寺師トヨタ副社長(右)と若田宇宙飛行士

日刊工業新聞2019年3月13日

  

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