究極のエコカーだが…ホンダが「FCV」次期モデルの投入を延期する事情

20年時点での本格普及は難しい

 ホンダは燃料電池車(FCV)の次期モデルについて、2020年をめどとしていた市場投入を2―3年延期する。水素充填のインフラ整備が不十分なことなどから、20年時点での本格普及は難しいと判断した。自動運転など開発領域が拡大する中、排ガスを出さないゼロエミッション車では、まず電気自動車(EV)に経営資源を集中する。一方、ハイブリッド車(HV)は二つのモーターを搭載する駆動システムに一本化し数量メリットを出して収益力向上を狙う。

 ホンダは16年に量産型FCV「クラリティフューエルセル」を発売した。翌17年には米ゼネラル・モーターズ(GM)とFCVの基幹部品「スタック」の開発・生産で協業。20年をめどに米国で量産をはじめ、それを搭載したFCVを両社それぞれが同国などで発売する計画だった。スタックの開発と量産準備は予定通り進めるが、ホンダは車両投入を遅らせる。

 ただ「究極のエコカーはFCVとの認識は変わっていない」(八郷隆弘社長)とし中長期の視点での開発を重視する。乗用車だけでなく、トラックなど大型商用車への技術応用も検討する。

 一方、HVについては現状で3種類ある駆動システムを2モーター型の「i―MMD」に一本化する。ほかの1モーター型、3モーター型と比べ高効率であるほか、技術をEVやプラグインハイブリッド車(PHV)に応用しやすい利点があるためだ。

 i―MMDの搭載を中型車から北米向けスポーツ多目的車(SUV)にも広げる。また小型車向けを開発し、秋に発表する新型「フィット」に搭載する計画。ホンダは30年に世界販売の3分の2を電動車にする方針。

 FCVをめぐっては日産自動車、独ダイムラー、米フォードモーターが量産化の共同計画を18年に凍結した一方、トヨタ自動車は20年後半の投入を計画する「MIRAI(ミライ)」を現行モデルと比べ大幅増産する計画。

日刊工業新聞2019年7月6日

  

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