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患者の細胞活用し「ミニ乳房」の再構築に成功 

新たな乳房再建術に期待

大阪大学と凸版印刷、京都府立医科大学は、患者の細胞を用いた、血管構造を持つミニサイズの乳房の再構築に成功した。小動物への移植後に機能する事例が多く、高い生着率を示した。脂肪組織のボールであるミニ乳房へ血管構造により栄養と酸素を供給できる。注射器で移植するため患者の負担が少ない。移植の量や時期も調整しやすく、乳がん摘出後の新たな乳房再建術として期待される。

同技術は、細胞と同じマイクロメートル(マイクロは100万分の1)サイズのコラーゲン線維を培養の足場材料とする。遠心分離で沈殿させ培養する独自の組織工学技術を使った。

脂肪細胞と脂肪由来幹細胞、血管内皮細胞を培養し、血管網を持つ約900マイクロメートルのミニ乳房を作製。約100個を注射で移植すると体内で自発的に集合体を形成し組織を再生する。患者自身の細胞を使うため免疫拒絶反応も起きにくい。

従来、乳房再建術は主にシリコーン製のインプラントが使われていたが、2019年7月に悪性リンパ腫との関連性の疑いから発売停止となった。患者自身の脂肪細胞の注入は生着率が安定しない課題があった。これらに代わる乳房再生医療として実用化を目指す。

日刊工業新聞2020年2月4日

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