ホンダ系サプライヤー、「系列外」から受注拡大への執念
ホンダ系サプライヤーがIoT(モノのインターネット)を活用した生産効率化に乗り出す。ジーテクトは自社の生産技術を生かした設備販売を2020年度から強化し、知見を自社の生産効率化にも生かす。エフテックも20年度から国内外の生産拠点間でIoTの導入を本格化する。八千代工業は中長期的なIoT活用を視野に入れる。生産効率化は事業基盤の強化のほか、主要取引先のホンダ以外からの受注拡大につなげる狙いがある。
ジーテクトは国内や中国で進めているIoTや自動化などのノウハウを生かした生産設備販売で、4月から担当役員を置くなど事業を本格化する。北米向けでロボットやカメラを活用して生産効率を高めるラインを構築中で、自社生産ラインの効率化向上にも生かす。
エフテックは20年度から日本や米国、中国の生産拠点でIoTを本格展開する。19年度から機械設備の稼働状況などの情報を収集してきた。機械設備に関する情報を3カ国の各拠点間で共有し、加工精度の向上や予防整備などに生かす。
八千代工業も機械設備の稼働状況の情報収集などでIoTの導入を進めている。25―30年度を見据え、国内外の生産拠点間の情報共有などで自動化やIoTを生かしグローバルでの品質向上を探る。
各社が生産効率に動くのは、ホンダへの依存度が高いホンダ系サプライヤーの間で系列外への販売が進み始めたことが背景にある。生産効率化は受注許容量の拡大につながる。
エフテックは米国などのトヨタ自動車向け部品の受注拡大や、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の新規受注も決まった。ジーテクトもトヨタ向けで新たな車体部品の受注を獲得。八千代工業は18年にダイハツ工業に部品を供給し始め、系列外への樹脂部品提案に力を入れる。
19年10月には日立オートモティブシステムズとホンダ系のケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合を発表した。系列外取引の拡大に向けた新たな動きも出てきている。
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