試験サービス2万人追加、楽天モバイルの準備は本当に順調なの?
楽天モバイルは、2019年10月に5000人限定で始めた自営の携帯電話回線の試験提供「無料サポータープログラム」の対象者数を、先着で最大2万人増やす2次募集を始めた。端末内にSIMカードを直接組み込むeSIMを採用した手のひらサイズの独自スマートフォン「楽天ミニ」の先行販売を開始。インターネットでの事前登録により、販売店での契約時間を最短18分にするなど4月の本格サービス開始に向けた準備を着々と進めている。(取材=編集委員・水嶋真人)
「1月の屋外基地局数は3020局となり、3月には4400局に増やす。3月の計画値3432局を大きく上回りそうだ」。楽天モバイルの山田善久社長は、当初遅れていた基地局整備が順調に進んでいることを強調した。
その最大の要因について山田社長は、楽天グループ各社の数百人の協力を挙げる。「楽天グループの役員数十人に担当エリアを割り振り、例えば楽天証券の役員に自らの人脈でビルオーナーと基地局設置や工事期間の交渉などをしてもらった」(山田社長)という。
結果、19年10月時点で東京23区内にとどまっていた首都圏の自営回線エリアは、川崎市や横浜市、千葉市の湾岸エリアにも拡大。自社エリア以外をカバーするKDDIとのローミング時に数秒間通話が途切れる現象も「4月をめどにローミング方式をS8からS10にし、途切れないようにする」(同)とした。
サービス関連でも差別化を進める。独自スマホ「楽天ミニ」で採用したeSIMは、SIMカードを入れ替えせずにオンラインで携帯会社や機種の変更ができる。通信料金は3月中にも公表するとしたが「参入の意義は低廉な価格。インパクトのある数字は出さないといけない」(同)。完全仮想化クラウド網の導入もあり通信・サービス両面でトラブルが頻発したが、今度こそ携帯業界に大きな衝撃を与えられるか。本格サービス化までの残り2カ月が正念場となる。