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グループ会社なのに同じ方向を向いていなかったアイシン精機の再スタート

伊勢清貴社長インタビュー「統合前倒し、強靭な体質に」

―主要子会社であるアイシン・エィ・ダブリュ(AW)との経営統合を発表しました。
「グループ会社なのに同じ方向を向いておらず、それぞれで動いている感覚が強かった。それを打破する効果がとても大きい。2社を含めた主要グループ13社全体の統合を促していく。グループ内の技術や資産を有効活用すれば、イノベーションを生み出せる。人事制度改革などの働き方改革も進め、グループの危機感と一体感、生産性を高めて強靱(きょうじん)な企業体質にしたい」

―統合作業をどう進めますか。
「昨秋調達部門を統合した。今年はグループ13社も対象に広げる。研究開発機関である『IMRA』もアイシン精機とAWそれぞれが持っていたが、すでに全体をアイシン精機が統括し、重複テーマをなくすようにした。正式な統合は21年4月だが、統合作業はできる限り前倒し、20年4月には大部分が動き出せるようにする」

―23年度にCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)分野で売上高1兆円以上を目指す目標を掲げています。
「電動駆動モジュールの『イーアクスル』や電動ポンプなど、Eの領域で8000億円程度、低速自動運転などのAの領域で2000億円程度を想定している。CとSは弱い所があるが手を打っている。例えばAWのナビゲーションの組織を改称して若手人材をグループから集めている。グループ全体の財産を生かし、CASE全体にしっかり取り組む」

―研究開発費の負担増が避けられません。
「売上高の5・5%くらいが適正だ。新規分野に投資するためにも、既存事業の選択と集中をさらに加速する。加えてトヨタ自動車グループやベンチャー、大学などとの連携も進める。設備投資も現在は売上高の約8%まで上昇しているが、CASE領域と既存分野、事業継続計画を3本柱に細部まで詰めて、減価償却費は6%程度に抑えたい」

―落ち込んでいる中国市場の見通しと、自動変速機(AT)新工場の計画への影響は。
「20年は19年と同程度に落ち込むと読んで計画を立てる。中国でのAT新工場は、規模を含めて相手と調整しながら進めている。

【記者の目】
AWとの統合後は、売上高3兆円を超える巨大組織が誕生する。激しい環境変化の中、機動力を持って事業を推進できるかが課題だ。伊勢社長は「統合は象徴のようなもので、精神的な部分も含め本当の意味で壁をなくすのが仕事」と話す。部門統合を含めた20年の仕込みが、将来を占う重要指標となる。

(名古屋・政年佐貴恵)
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