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政府が土地政策を抜本転換へ、所有者に「管理」責任

通常国会に土地基本法の改正案

政府は土地政策を抜本的に見直す方針を固めた。土地利用の理念となる土地基本法に土地の「管理」を入れ、所有者の責務を明確化する。「新・土地基本法」に基づく新たな土地政策の基本方針を閣議決定し、自治体と一体となって国土の全体最適を図る。所有者不明や管理不全の土地が周辺に多大な悪影響を与える場合には、公共・公益的な利用を可能にする。こうした土地管理の基本となる地籍調査の実行性を高める取り組みも実施する。

20日召集の通常国会に土地基本法と2関連法の改正案を提出する。さらに年内にも民事基本法制の見直しにつなげたい考えだ。

土地基本法はバブル期に地価高騰を抑制する目的で制定された。ただ土地の積極活用を前提としたため、それ以外の規律は明確でない。その後、土地神話は崩壊し人口減少や都市集中など状況は一変、全国的に所有者不明や管理不全土地が社会問題化している。特別措置法などで対応してきたが、今後も相続の多発で事態悪化が懸念されるため土地政策を根本から見直す。

通常国会には土地管理の基本となる地籍調査の円滑化を狙いに、国土調査法と国土調査促進特別措置法の改正案も提出する。地籍調査は開始から60年を経たが進捗(しんちょく)は52%。このため調査対象をこれまでの30万平方キロメートルから、区画整理済み土地や公園などの公的土地、天然林を除外した20万平方キロメートルに絞る。

所有者調査は固定資産税情報を利用可能とし、公告期間を経た所有者不明土地の調査や都市部での官民境界の優先調査、衛星写真など最新技術の利用も可能にする。地籍調査を急ぎインフラ整備の円滑化、災害対応、民間都市開発につなげる。

日刊工業新聞2020年1月16日

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