“御三家”全てと決別も、日立がグループ再編総仕上げへ

IoT共通基盤に経営資源集中

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日立の東原敏昭社長
 

日立製作所は上場子会社を中心にグループ再編の総仕上げに入った。日立化成の売却に関して、総合化学メーカーの昭和電工と交渉中だ。同じく日立金属や日立ハイテクノロジーズなどにも売却のうわさが流れる。

 

日立製作所は2000年前後から半導体事業などのボラティリティー(変動率)が高い事業の切り離しを進めてきた。08年のリーマン・ショックにより巨額赤字を計上して以降は再編のアクセルをさらに踏み込み、ハードディスク駆動装置(HDD)や中小型液晶パネルなどを売却・事業統合して遠ざけた。19年1月には英国で計画していた原子力発電所建設事業の中断も決めた。

 

グループ挙げて注力するIoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」との親和性も子会社売却の判断基準の一つ。材料系子会社と比べて親和性の高い日立建機は再編議論と無縁のようだ。今後の注目は日立金属の行方。13年に同社と合併した日立電線を含めて祖業中の祖業であり、“御三家”全てとの決別は創業110年近い歴史の中でも大きな転換点となる。

 

グループを去りそうな日立化成と昭和電工の組み合わせは、同業者の間でも毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばする。化学産業のサプライチェーンでは、川上に昭和電工、川下に日立化成という構図。製品・事業領域がほぼ重なっておらず補完関係を築けるとの見方は一部である。しかし、各事業が重複していないから短期的な統合シナジーは見込めないとの声も多い。日立化成は各種電池や電池材料、内外装部材など自動車分野に強みを持つ。今後も高まる車両の軽量化、電動化ニーズを想定すれば、同社の成長戦略はやはりモビリティー向けが軸になる。

 

昭和電工は同業他社と比べて自動車分野で特段目立つ存在ではない。他の総合化学メーカーはそもそも日立化成の買収に及び腰だった。日立化成の成長戦略よりも、親会社の売却意向が強く反映された結果に見える。

(取材・鈴木岳志)
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日刊工業新聞2019年12月10日

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