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サムスン・LGの業績失速、「韓国時代」の終わりの始まりか

サムスン・LGの業績失速、「韓国時代」の終わりの始まりか

「メイドイン韓国」も競争力が一段と低下(写真はイメージ)

韓国経済をけん引してきたサムスン電子とLGエレクトロニクスの電機2強の苦境が鮮明になってきた。サムスンの2019年の通期決算(暫定)は、営業利益が前年比53%減の27兆7100億ウォン(約2兆5600億円)と大幅減益で、昨年の半導体市況の不振が響いた。LGはディスプレー子会社が巨額赤字を計上、リストラを加速させている。最終製品や部品事業に欠かせない半導体材料は海外に依存しており、競争力が一段を低下していく可能性もある。

サムスンの19年10―12月期は営業利益が7兆1000億ウォンで前年同期比34%減だった。一方で売上高は59兆ウォンで0・5%減にとどまっており、半導体市況には底打ちの兆しが出ているとの見方もある。今後はスマートフォン事業で「ギャラクシーノート10」の販売動向がカギになりそう。

LGディスプレーは液晶表示装置(LCD)価格の下落と世界的な供給過剰を受け、韓国国内での液晶テレビの生産を年内に打ち切り、中国での生産に切り替えることを決めた。今後は経営資源を有機EL(OLED)技術にシフトさせていくという。

LGディスプレーはLGエレクトロニクスの中核会社。19年10月、テレビ用液晶パネルの価格下落が響き7―9月期決算が8年ぶりの営業赤字に転落した。同社幹部は「会社の存続が危険にさらされている」と発言、国内で液晶パネルの生産ラインを縮小する計画。液晶パネルはサムスンも稼ぎ頭の事業だったが、中国勢の台頭により収益が悪化している。

有機ELも問題を抱える。韓国の報道によると、LGディスプレイーが米アップルに供給した「iPhone(アイフォーン)11 Pro」シリーズ向け有機ELパネルで、日本製から切り替えて国産化したフッ化水素に起因して大量の不良が発生したと見られる。

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