エネルギーの再利用効率は90%、EV用新型モーターを開発した実力中小企業
アイエムアイと山内エンジリングが20年中に製品化
アイエムアイ(群馬県富岡市、今井久司社長)は、山内エンジニアリング(相模原市中央区、山内章社長)と共同で電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)向けの新型モーターを開発した。ローターとステーターを同方向に回転する新構造を採用。エネルギー効率を大幅に高めた。共同研究の相手先などを募って、2020年中に製品化する計画だ。
新型モーターは通常の走行時に中心部のローターが回転し、減速・停止時に外側のステーターが回転してエネルギーを蓄積。再発進時にはローターとステーターを同一方向に回転させ、蓄積した回転エネルギーとバッテリーからの電動出力を合成させた運動エネルギーとして回生する。高い出力が得られ、電費性能を向上できる。モーターの構造が簡素で軽量化や小型化を図れる。製造コストの低減につながり、永久磁石を埋め込んだ構造で高効率の「IPMモーター」でも製造可能という。
エネルギーの再利用効率は約90%。EVやHV向けで主流となるモーターに比べ、走行航続距離は既存バッテリーのままで2倍程度に向上できる。バスや電車向けの大型タイプは定格出力45キロワットで、加速時の合成出力が200キロワット。現在、試作中の小型自動車向けは定格出力130キロワットで加速時の合成出力として260キロワットを目指す。今後、車載による耐久性能検査などを実施する計画。
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日刊工業新聞2020年1月9日