投入相次ぐ新型車、その個性をまるっと紹介
消費増税や大型台風の影響で2019年後半から低迷する国内新車市場だが、年明けから新型車の投入が相次ぐ。注目は軽・小型車と電気自動車(EV)。トヨタ自動車、ホンダはそれぞれ2月に小型車を投入し、スズキも1月に主力の軽自動車の全面改良を控える。EVを巡っては日産自動車が次世代の戦略車を初投入。一方、SUBARU(スバル)は走りを追求した新型車を発売する。“大型新人”は、成熟化が進む国内市場を活性化できるか―。
トヨタ 小型車「ヤリス」 主要部品を新設計
トヨタ自動車は主力小型車「ヴィッツ」の名称を海外名「ヤリス」に変更し、全面改良モデルを2月10日に発売する。プラットフォーム(車台)やパワートレーンなどを刷新するとともに、最先端の安全装備を搭載。初代誕生から20年の節目を飾る戦略車となる。
新型ヤリスは車台、エンジン、変速機、サスペンションなど主要コンポーネントをすべて新設計とした。車台には小型車で初めて、新設計思想「TNGA」を採用。先進の構造技術で従来型に比べ車両重量を50キログラム軽くしたほか、開発の効率化により製造コストを大幅に抑えた。
ハイブリッド車(HV)システムも新たに開発して、燃費はクラス世界トップレベルのガソリン1リットル当たり36キロメートル(WLTCモード)を達成した。
ホンダ 小型車「フィット」 2モーター式HV
ホンダは主力小型車「フィット」を6年ぶりに全面改良して2月に発売する。HVモデルには、2モーター式システムをホンダの小型車として初めて搭載した。
車載通信モジュール「ホンダコネクト」を活用したコネクテッド機能を搭載する。事故時に緊急サポートセンターにつながり迅速な対応が可能になるという。
フロントピラーを極細にして、インスツルメントパネルを水平基調とし、車内からの見通しを改善した。環境性能の高さと乗り心地の良さを両立した新世代の小型車として訴求していく。
部品調達問題で当初予定より発売時期が後ろ倒しになったが、八郷隆弘社長は「自信を持って出す車なので長い目では(遅れの悪影響は)ない」としている。
スズキ 軽「ハスラー」 SUVらしさ前面
スズキは軽自動車「ハスラー」の全面改良モデルを1月20日に発売する。前モデル同様、スポーツ多目的車(SUV)らしさを前面に押し出した個性的なデザインが特徴だ。安全性能や操作性、快適性などさまざまな機能を高めた。
ターボ車には同社の軽自動車で初となる全車速追従機能付きの「アダプティブクルーズコントロール」を搭載した。リアシートの調整で荷室容量を変更できレジャーや日常使いまで幅広い利用を提案する。
竹中秀昭チーフエンジニアは「ユーザーの行動力をかき立てる新たなハスラー」と強調。軽クロスオーバーという新たなジャンルを切り拓いた前モデルがヒットしただけに新型も軽市場の活性化が期待される。
日産 4WD型EV 駆動・制動力に自信
日産自動車は20年度内に電気自動車(EV)の新モデルを発売する見通し。最大の特徴は前後に計二つのモーターを搭載する4輪駆動(4WD)である点で、次世代の日産車を代表する一つになる。
日産は19年の「第46回東京モーターショー」で、SUVタイプのコンセプトEV「アリア」を世界初披露した。「非常に近い未来の日産車の方向性だ」(中畔邦雄副社長)としており、4WDの新型EVのベースになる。
新型EVは4WDにより、駆動力とブレーキ制御を最適化した。滑りやすい道路でも快適に運転できるという。一定条件下で手放し運転が可能となる運転支援技術「プロパイロット2・0」など先端機能を搭載する見込み。同技術は新型「スカイライン」にも搭載されている。
スバル スポーツワゴン「レヴォーグ」 コネクテッド導入
SUBARU(スバル)はスポーツワゴン「レヴォーグ」の全面改良モデルを20年後半に発売する計画だ。衝突軽減ブレーキなどを備えた次世代「アイサイト」(開発中)を搭載し、安全性能を高めるほか事故発生時にオペレーターにつながるコネクテッドサービスをスバルの国内モデルとして初めて導入する。
新型レヴォーグは、加速性能と環境性能を両立した第4世代の排気量1・8リットル新型水平対向直噴ターボエンジンを採用する。
新型アイサイトは広角化した新開発のステレオカメラと前後合わせて四つのレーダーにより360度をセンシングする。見通しの悪い交差点での出合い頭の衝突や左右折時までの衝突被害軽減ブレーキの作動範囲を拡大した。