変わる修学旅行、ITを使った“教育旅行"を提案するJTBの狙い

学習指導要領改訂をにらむ

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修学旅行の班別行動をロボホンとともに(イメージ)

JTBは、情報通信技術(ICT)を活用した新たな教育旅行の提案をはじめ、学校経営支援事業の拡充を進めている。「戦後最大の教育改革」とも称される2020年度以降に実施となる学習指導要領改訂を機に、教育現場の課題解決支援につながるサービスを展開する考えだ。自らの持つノウハウや地域・企業との接点を生かして“交流創造事業”の領域拡大を見据える。

【新しい指導要領】

新しい指導要領には主体的・対話的で深い学び「アクティブラーニング」や情報活用能力の育成が盛り込まれた。各地の教育現場ではICT環境整備とともに、学習活動をどう組み立てていくべきかについて、検討が進められているところだ。

一方で求められている教育内容には専門性が必要なため、準備に不安や戸惑いを隠せない現場も多いという。洪水敏孝法人事業本部事業推進部旅行事業推進担当部長は「ICT活用にどのように対応したら良いか、との声が上がっている」と話す。専門家によって制作されたコンテンツへの関心は高いようだ。

JTBは一つの切り口として、以前から学校との取引が多い修学旅行に着目。修学旅行をICTの活用で主体的な学びの場にできるコンテンツの提案を始めた。旅行の班別行動に、シャープのコミュニケーションロボット「ロボホン」をパートナーとして帯同させ、観光案内や写真撮影、位置把握、本部との連絡手段などに使う。

【ロボホン100台】

教育旅行向けプログラム「ロボ旅@教育旅行」と銘打って、京都を訪れる学校を対象に商品を開発した。京都は全国の中学校の約6割に修学旅行先として選ばれ、班別行動も多く採用されている。ロボホンには市内500カ所以上のポイントをあらかじめ登録。貸し出し用のロボホンを100台準備した。

出発前にはロボットや人工知能(AI)を学べる教材で事前学習し、ロボホンに発話させるオリジナルの観光案内を考える。将来はプログラミングを学べる仕組みの導入も視野に入れている。旅行先では実際にロボホンとの班別行動を楽しむ。その位置情報は逐次、本部に伝えられ、メッセージの送受信機能を活用すれば、連絡もたやすい。旅行後には撮影した写真や取得した行動ログを使って、成果発表に役立てる。

【デジタル世代】

檜垣克己執行役員は「ICTを楽しく身近に感じられる。デジタル世代の新しい修学旅行だ」と紹介する。

JTBは学校経営の支援という観点からワンパッケージのカリキュラムを構想。学校や地域の特性に合わせて修学旅行のような校外活動と教室での活動とを、体系的に組み合わせた「学校行事トータルデザイン」を提供したい考えだ。檜垣執行役員は「3年後のゴールに向けてストーリーを決め、全体連動による教育効果の最大化が狙える」と説明する。

JTBは18年4月に経営改革を行い「交流の創造で新しい事業を作り出す」(田川博己会長)旅行会社へと歩みを進めた。企業と学校、地域と学校をつなぐ教育事業は、交流創造を掲げる新生JTBの注力領域の一つだ。(取材・小林広幸)

ロボ旅@教育旅行を発表する檜垣JTB執行役員(中央)

日刊工業新聞2020年1月3日

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JTB 修学旅行

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